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脳科学に基づく暗記のコツ!学生が知っておくべき8つのテクニック

脳科学に基づく暗記のコツ!学生が知っておくべき8つのテクニック

2025/01

暗記することが多くてなかなか覚えられないという悩みを抱えていませんか?

受験勉強や定期試験のシーズンになると、多くの学生が暗記に苦しんでいる姿を見かけます。歴史の年号、英単語、数学の公式など、時間をかけて頑張ってもなかなか頭に入らなかったり、覚えたと思ってもすぐに忘れたりすることがあります。脳を効果的に使うと暗記が得意になるかもしれません。

この記事では、受験や試験勉強に役立つ、脳の働きに基づいた効果的な暗記法をご紹介します。効率的かつ楽に暗記するテクニックを知ることで、ストレスなく学習に取り組めるようになります。

これからご紹介する方法を実践して、勉強をもっと楽しく、効果的に進めていきましょう。

エビングハウスの忘却曲線

勉強中に何かを思い出そうとしている女子高生のイメージ

最初に、暗記の大敵である「忘却」について理解しましょう。

エビングハウスの忘却曲線とは、19世紀のドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスによって提唱された概念で、時間経過に伴う記憶の変化を表した曲線です。この曲線は、人間が新しい情報をどのように忘れていくかを示しています。

エビングハウスの実験によれば、新しい情報が記憶に残るのは非常に短期間であり、最初のうちは急速に忘却が進みます。例えば、1時間後には約56%、1日後には約66%、1週間後には約79%の情報を忘れてしまいます。

苦手な暗記を克服するには、以下のような効果的な学習方法を取り入れることが鍵となります。

短時間の学習を繰り返す

長時間続けて勉強するのではなく、短時間の学習をコツコツ繰り返すことで、記憶の定着を促進します。

反復学習を簡単に行う

単語帳やフラッシュカードなどを活用して、忘れないうちに簡単に反復学習できる方法を取り入れましょう。

復習のタイミングを工夫する

1時間後、1日後、1週間後、1ヶ月後といったタイミングで学習内容を見直すことで、効率的に記憶を定着させることができます。


エビングハウスの忘却曲線を意識して学習することで、より効果的に知識を定着させ、持続的な記憶を形成することができるでしょう。

チャンク化(情報の塊)

人間の短期記憶には限界があります。一度に大量の情報を覚えようとすると、頭が混乱してしまうことも少なくありません。そこで活用したいのが「チャンク化」です。チャンク化とは、小さく覚えやすい塊に情報を整理するテクニックです。

例えば、電話番号を覚えたいとき、一連の数字をそのまま覚えるのは大変です。でも、以下のように区切るとどうでしょう?

  • 09012345678 → 090-1234-5678

このように、小さな単位に整理することで、短期記憶を有効に活用できます。

試験勉強では、以下のような方法を使うことができます。

歴史の出来事を年代ごとにまとめる

19世紀、20世紀など、大まかな時代区分で出来事を整理することで、混乱せずに覚えられます。

英単語を意味の近いグループに分ける

動物の単語、果物の単語など、関連する単語をまとめて覚えるのも効果的です。

  • (例)
  • 動物: cat, dog, elephant
  • 果物: apple, orange, banana

この他にもチャンク化の方法があります。

視覚的に整理する

マインドマップやフローチャートを使って情報を視覚的に整理することで、関係性がはっきりし、深い理解を助けます。

ストーリーにまとめる

覚えたい情報を一つの物語として組み合わせることで、記憶に残りやすくなります。例えば、化学の元素記号を面白いストーリーの中に組み込むなどです。

記憶の有効性は個人の学習スタイルによって異なります。そのため、様々なチャンク化の方法を試して最適なものを見つけることが大切です。

理解しやすく覚えやすいチャンク化を見つけることで、記憶力や暗記の効率が飛躍的に向上します。自分に合ったチャンク化の方法を見つけて、学習をより楽しく効果的にしましょう。

マインドマップ

マインドマップのイメージ

情報を可視化するマインドマップは、学習プロセスを効率化し、記憶の定着や創造的な発想を促進する有益なツールです。中心となるキーワードやアイデアを出発点に、関連するトピックや情報を枝分かれさせながら描くことで、全体像を直感的に把握しやすくなります。

マインドマップの作成手順

1.中心に主要なテーマを描く
まず、紙やデジタルツールの中央に、学びたいテーマや問題の中心となるキーワードを描きます。(例:第二次世界大戦)

2.主な関連トピックを放射状に広げる
中心テーマから関連する主要なトピックやサブテーマを枝分かれさせます。(例:原因、主要な出来事、影響、参加国)

3.主な関連トピックに詳細な情報を書き加える
各関連トピックに、詳細な情報やサブトピックを追加していきます。(例:原因→政治的背景、経済的要因、国際関係など)

4.キーワードとイメージの追加
各関連トピックにキーワードや簡単なフレーズを記入し、可能であれば絵やアイコンを追加し、視覚的にわかりやすくします。

5.関連付け
関連する情報同士を矢印などで結び付け、全体の構造を明確にします。

学習での具体的な活用法

・予習復習に活用
授業の前にマインドマップで予習を行うことで、学びたい内容の全体像を把握できます。また、授業後に復習としてマインドマップを作成することで、重要ポイントの整理と確認ができます。

・ノート作成
マインドマップを使ってノートを作成することで、情報の関連性を視覚的に整理しやすくなり、理解しやすいノートを作ることができます。

マインドマップは学習内容を視覚的に整理し、情報の整理や記憶、発想を助けるツールです。理解しにくい出来事や苦手科目の克服に、ぜひ活用してみてください。

リンク法

リンク法とは、覚えたい情報を関連付け、ストーリーやイメージを使って暗記を助けるテクニックです。抽象的な情報を具体化することで、短期記憶から長期記憶への移行をスムーズにします。例えば、歴史の重要人物を覚える際に、その人物が関わった出来事や状況を具体的なイメージとして結びつけると覚えやすくなります。

リンク法のステップ

1.情報の収集
記憶したい情報を整理し、リストアップします。特に覚えにくい情報があれば、その部分に重点を置きましょう。

2.関連性の創出
各情報同士に関連性を見つけたり、関連を作り出したりします。たとえば、歴史的な出来事を時系列で整理する、または科学の概念をストーリー仕立てにするなどが有効です。

3.イメージ化
情報を視覚的に想像します。たとえば、覚えたい単語を視覚的なイメージに変換して、それぞれを繋げると記憶がしやすくなります。

4.反復練習
リンクされた情報を何度も思い出すことによって、記憶の定着を図ります。定期的な復習が重要です。

リンク法の具体的な活用例

・言語学習
新しい語彙を覚える際に、言葉の意味や音を関連付けて覚えることができます。同音異義語や語幹、語尾の変化などをリンクさせると効果的です。

・歴史学習
歴史的な出来事を時系列で関連付け、出来事同士の因果関係をストーリーとして覚えると良いでしょう。これは特に世界史や日本史の学習で有効です。

・化学や数学
化学の概念や数学の公式を実生活の具体例と関連付けることで理解が深まります。たとえば、電気回路の学習では、水の流れに置き換えて理解する方法があります。

リンク法は、学習における効果的な記憶テクニックとして非常に有用です。情報同士を関連付け、イメージ化し、定期的に反復することで、学習効率が大幅に向上します。ぜひ、自分に合ったリンク法を見つけて、日常の学習に活用してみてください。

フラッシュカード

フラッシュカードのイメージ

フラッシュカードは、暗記の最も伝統的かつ効果的な方法のひとつです。片面に質問や単語を書き、反対の面に答えや意味を書いたカードを使用し、繰り返し復習する学習法です。主に記憶や理解を助けるために使用され、子どもから大人まで幅広く利用されています。

フラッシュカードの利点

1.アクティブリコールの促進
フラッシュカードは、単に情報を読むだけでなく、情報を思い出すことを促すため、記憶の定着に効果的です。

2.スペースドリピティション(間隔反復)
フラッシュカードは、忘れ始めた頃に再度学習する機会を提供するため、反復学習に非常に適しています。

3.ポータビリティ
小型で持ち運びが容易なので、いつでもどこでも学習を行うことができます。

4.視覚的学習
テキストだけでなく、画像や図表を用いることで視覚的な記憶も強化します。

フラッシュカードの効果的な使い方

・定期的な学習スケジュール
毎日や週に数回、定期的に時間を設けてフラッシュカードを使うと効果的です。

・ペアで使う
友人やクラスメートと一緒にフラッシュカードを使うことで、お互いに質問し合うことができます。

・アクティブリコールを意識する
カードを見る度に、答えをすぐに確認するのではなく、自分で答えを考える時間をとります。

近年では、スマートフォンやタブレット用のアプリを使用して電子フラッシュカードを作成・利用することも一般的です。これにより、さらに手軽に学習することができるようになっています。ぜひ学習の一助にしてください。

アクティブリコール

アクティブリコールとは、単に情報を読み返したり見返したりするだけでなく、情報を活発に思い出そうとすることで、長期間にわたる記憶の強化や定着を図る記憶術です。

アクティブリコールの実践法

1.情報の収集と整理
学習したいトピックをノートやフラッシュカードなどを使って情報を整理します。この段階で可能な限り詳細にまとめることが、後にアクティブリコールを効果的に進めるための基盤となります。

2.問題を解く(自己テストの実施)
整理したノートやフラッシュカードを使用して、テストを行います。この際、答えを確認する前に、自分で思い出す努力をすることが重要です。

3.フィードバック
自己テストの結果を確認し、自分の解答と正答を比較します。不正解だった部分や理解が不十分なところをノートに書き出し、学習の理解を深めます。

4.反復と強化
アクティブリコールは一度だけでなく、繰り返し行うことで効果を発揮します。定期的な復習の計画を立て、情報を再度想起することで、記憶の定着を強化します。これを、間隔を空けて複数回行うと、より長期的な記憶となります。

5.他人に教える
学習した内容を他人に説明することで、内容の理解や記憶の定着が効率的に進みます。情報を再想起する際に行うと、より強固に記憶を定着させることができます。

アクティブリコールは、効果的な学習法として、多くの学生や専門家から支持されています。情報を単純に受け取るだけでなく、自ら思い出し、確認し、フィードバックを行うことで、深い理解と持続的な記憶を実現することができます。この方法を取り入れて、学習効率を最大限に高めていきましょう。

スペースドリハーサル(間隔反復)

問題集のイメージ

スペースドリハーサルは、一度に大量の情報を詰め込むのではなく、一定の間隔を置いて少しずつ学習を繰り返す学習法です。この方法では、間隔を置いて何度も復習することで記憶の持続力を向上させることができます。

スペースドリハーサルのメリット

1.記憶の強化
繰り返し学習することで情報が長期記憶に定着しやすくなります。間隔を置いて繰り返すと、脳が情報を再活性化し、より深く記憶することができます。

2.学習効率の向上
一度に大量の情報を詰め込むよりも、少しずつ学ぶと集中力を維持しやすく、疲れにくいというメリットがあります。

3.忘却曲線の対策
人間の記憶は時間とともに薄れていきます。この現象は「忘却曲線」と呼ばれますが、スペースドリハーサルを利用することで、この曲線の効果を軽減することができます。

スペースドリハーサルの具体的な実践方法

1.初回学習
新しい情報を学習し、その内容を理解する。

2.初回復習
初回学習から数時間から1日後に最初の復習を行います。この短い間隔が初回の定着に役立ちます。

3.定期的な復習
初回復習から数日、数週間、数か月といった具合に復習の間隔を徐々に広げていきます。これにより暗記した情報が長期的に持続するようになります。

スペースドリハーサルは情報の定着を図るための効果的な学習法です。計画的に復習することで、忘れることなく知識を深めることができます。特に定期試験などにおいて、効果を実感できるでしょう。

エングラム

エングラムは、脳内の神経回路に生じる持続的な変化を指します。この変化は、経験や学習によって引き起こされ、特定の情報やスキルを記憶として保持する基盤となります。エングラムを理解することで、より効果的な暗記方法を選ぶことができます。

エングラムの形成と強化

エングラムを形成し、記憶を強化するためには、新しい情報を覚えやすい形に変換し、記憶として保持する必要があります。このエングラムの形成と強化には、以下の方法が効果的です。

1.反復練習
新しい情報やスキルを繰り返し練習することで、神経回路が強化され、エングラムが形成されやすくなります。この現象は「長期増強(LTP: Long-Term Potentiation)」と呼ばれ、特定のシナプスの強度が持続的に増強されることを意味します。

2.情報を様々な形式で学ぶこと
視覚、聴覚、触覚など、多様な方法で情報を学習することで、エングラムは多面的に強化され、より柔軟な応用が可能になります。

3.十分な睡眠を取る
レム睡眠中に脳は新しい情報を整理し、エングラムとして情報が脳に定着するプロセスを促進します。

エングラムを活用した効果的な学習法

エングラムの概念を用いることで、より効果的に勉強することができます。

1.分散学習
学習セッションを時間的に分散させることで、エングラムの形成が強化され、長期記憶として保持されやすくなります。

2.テスト効果
自己テストを取り入れることで、エングラムの強化と情報保持が促進されます。また、記憶を呼び起こす定期的なテストで、エングラムを強化することができます。

3.マインドマップ
情報を視覚的に整理することで、エングラムの形成を助けることができます。視覚的な要素は、記憶の補強に役立ちます。

4.メタ認知
自分の学習状況を把握し、どの情報がどれほど記憶に残っているかを自己評価することで、エングラムを意識的に強化する戦略を取ることができます。

エングラムは学習と記憶において重要な役割を果たします。エングラムを活用して知識やスキルを効果的に学び、内容を効率よく身につけていきましょう。

まとめ

待ち時間に単語カードで勉強する女子高生のイメージ

暗記を効率よく行うためには、脳の働きや記憶のメカニズムを理解し、それに基づいたテクニックを実践することが重要です。

今回ご紹介した8つの暗記テクニックを試して、自分に合った方法を見つけてみてください。効率的な暗記法を身につけることで、勉強の質が大幅に向上し、目標達成への道が開けるでしょう。

ひとつひとつのテクニックを学ぶだけでなく、それぞれを組み合わせて実践することで、記憶力を最大限に引き出すことができます。

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