名古屋大学
4.2025年度入試の変更点
●共通テスト・2次試験の科目・配点の変更点
2018年に文部科学省より告示された学習指導要領の改訂を受けて、名古屋大学では共通テストおよび2次試験(一部の学部・学科のみ)の科目・配点の変更が行われます。
まず、2025年度の共通テストから新たに実施される科目、『情報I』については、全学部で必須科目となりました。配点は工学部が35点、その他の学部が50点となっており、他教科と比べてその比率は軽くなっています。『情報I』の配点については、北海道大学・徳島大学・香川大学で配点しないことが公表されています。国立大学協会は2025年度入試からの共通テストについて『情報Ⅰ』を加えた6教科8科目を課すことを原則とすると発表しています。そのため、未公表の大学が今後『情報Ⅰ』の配点をどのように定めるか注視する必要があります。
また、科目構成が大幅に変更となる地歴公民ではいずれの学部でも『地理総合/歴史総合/公共』の選択は不可となっており、他の旧帝大と同様です。
共通テストと2次試験の科目・配点については理学部と医学部医学科で下表のとおりに変更(下線部)が行われます。
学部 | 年度 | 共通テスト | 2次試験 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
外 | 国 | 数 | 歴公 | 理 | 情 | 計 | 外 | 国 | 数 | 理 | 計 | ||
理 | 23年 | 200 | 200 | 200 | 100 | 200 | ー | 900 | 300 | 150 | 500 | 500 | 1,450 |
25年 | 250 | 300 | 100 | 100 | 100 | 50 | 900 | 300 | ー | 600 | 600 | 1,500 | |
医-医 | 23年 | 200 | 200 | 200 | 100 | 200 | ー | 900 | 500 | 150 | 500 | 500 | 1,650 |
25年 | 200 | 200 | 200 | 100 | 200 | 50 | 950 | 600 | ー | 600 | 600 | 1,800 |
共通テストの配点をみると、理学部が傾斜配点を導入します。数学と理科がそれぞれ100点減少(2023年度は200点)しますが、外国語と国語がそれぞれ250点、300点に増加(2023年度は外国語・国語ともに200点)します。『情報Ⅰ』が新たに追加されますが、理学部の共通テスト全体の得点は、2023年度入試と同じ900点になります。
続いて2次試験の科目・配点について見ていきましょう。理学部では国語を廃止し、数学と理科の配点がそれぞれ100点ずつ増加しています。2次試験の合計点数は1,500点となり、2023年度入試よりも50点増加しています。医学部医学科でも2025年度入試から国語が廃止されます。また、数学、理科、外国語の点数がそれぞれ100点ずつ上がり、2次試験の合計点数は1,800点となります。それ以外の学部・学科については現時点で変更の発表はありません。【図表⑪⑫】参照
2次試験の科目内容については下表のとおりです。
教科 | 科目(分野) | |
---|---|---|
英語 | 「英語コミュニケーションⅠ」、「英語コミュニケーションⅡ」、「英語コミュニケーションⅢ」、 「論理・表現Ⅰ」、「論理・表現Ⅱ」、「論理・表現Ⅲ」をあわせて出題 | |
国語(文系) | 「現代の国語」、「言語文化」、「論理国語」、「文学国語」、「古典探究」 | |
国語(理系) | 「現代の国語」、「言語文化(古文、漢文を除く)」、「論理国語」、「文学国語」 | |
数学(文系) | 「数学Ⅰ」「数学Ⅱ」、「数学A」、「数学B(数列)」、「数学C(ベクトル)」 | |
数学(理系) | 「数学Ⅰ」「数学Ⅱ」、「数学Ⅲ」、「数学A」、「数学B(数列)」、「数学C(ベクトル、 平面上の曲線と複素数平面)」 | |
地理歴史 | 「地理総合、地理探究」、「歴史総合、日本史探究」、「歴史総合、世界史探究」から1科目 | |
理科 | 情報学部 自然情報学科 |
「物理基礎、物理」、「化学基礎、化学」、「生物基礎、生物」、 「地学基礎、地学」から1科目 |
情報学部 コンピュータ科学科 |
「物理基礎、物理」必須、 「化学基礎、化学」、「生物基礎、生物」、「地学基礎、地学」から 1科目 | |
理学部 | 「物理基礎、物理」、「化学基礎、化学」、「生物基礎、生物」、 「地学基礎、地学」から2科目 | |
医学部・農学部 | 「物理基礎、物理」、「化学基礎、化学」、「生物基礎、生物」から2科目 | |
工学部 | 「物理基礎、物理」、「化学基礎、化学」 |
名古屋大の地理歴史では「地理総合」と「歴史総合」がそれぞれ範囲に入っています。東京大学・京都大学・筑波大学は「地理総合」と「歴史総合」の範囲が除外されているため、2次試験の対策を行う際には注意が必要です。特に、「歴史総合」は近現代の日本史と世界史が学習範囲となっています。「歴史総合」を範囲としている科目は、近現代の日本史と世界史の融合問題が出題されると見越して対策すべきと考えます。
「数学B」について他の旧帝大と比べると、東京大学では「統計的な推測」も含まれていますが、名古屋大学は「数列」のみが範囲です。2次試験で「統計的な推測」が出題範囲に含まれる大学を受験する際には相応な準備が必要になります。
●旧教育課程履修者に対する経過措置【共通テスト】
旧教育課程履修者は共通テストで出題される経過措置科目の選択が認められます。現時点で詳細な発表はありません。
●旧教育課程履修者に対する経過措置【2次試験(個別学力試験等)】
新課程と旧課程との共通内容を出題する等の配慮は行われますが、特別な経過措置はとられません。
●理学部の総合型選抜について
2025年度入試より理学部では名古屋大学で初めてとなる総合型選抜を実施します。数理学科、物理学科、地球惑星科学科では共通テストを課す方式を、化学科および生命理学科では共通テストを課さない方式がそれぞれ実施されます。理学部では2年次に進級する際に各学科に分属されますが、総合型選抜の入学者は合格した学科に優先的に分属されます。ただし、本人が合格学科以外の学科を希望した場合はその限りではありません。出願資格は現役生および既卒1年生です。また、共通テストを課す総合型選抜と学校推薦型選抜の併願はできません。
では、ここからはそれぞれの方式の選抜方法について見ていきましょう。まず、共通テストを課す総合型選抜(数理学科、物理学科、地球惑星科学科が実施)です。出願期間は共通テスト後の1週間、合格発表を含む選抜日程は既存の共通テストを課す学校推薦型選抜と同じ時期になります。選抜は2段階で行われ、はじめに提出された書類(志願票、調査書、志願理由書)と共通テストの得点を総合的に評価し第1次選考合格者が選定されます。第2次選考では第1次選考合格者に対して口頭試問による面接を実施し、第1次選考の結果も踏まえて最終的な合格者が決定されます。【図表⑬】参照
 続いて、共通テストを課さない総合型選抜(化学科、生命理学科が実施)を見ていきましょう。出願期間は10月下旬から11月中旬、実施日程は11月中旬から12月中旬を予定しており、12月中旬までに合格者が発表される予定です。先述の出願資格に加えて、生命理学科では研究プログラムやコンテスト等で優秀な成績を修めていることが要件となっています。選抜方法は各学科によって異なり、化学科では3段階で選抜が実施されます。第1次選考で書類選考、第2次選考では小論文を課し、第3次選考では口頭試問を含めた面接選考が行われます。一方、生命理学科では2段階で選抜が実施されます。第1次選考では書類選考、第2次選考では総合選考が行われます。総合選考では、生命科学分野の講義に基づく小論文及び面接が行われます。【図表⑭⑮】参照
●その他の変更点
<理学部>
学校推薦型選抜に関する変更(下線部)
2023年度 | 2025年度 |
---|---|
募集人員:50名 選抜方法:書類選考と面接選考をそれぞれ実施 提出書類:志望理由書、推薦書、調査書、任意提出書類 |
募集人員:30名 選抜方法:書類選考のみ 提出書類:志望理由書、推薦書、任意提出書類 |
一般選抜の募集人員に関する変更(下線部)
2023年度 | 2025年度 |
---|---|
募集人員:220名 | 募集人員:215名 |
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