大学入試の基礎知識:大学入学共通テスト

大学入学共通テストとは

      
【図表1】大学入学共通テスト(本試験) 平均点の推移
教科 科目・出題範囲 満点 2023年 2024年 2025年
出題範囲
外国語 英語(リーディング) 100 53.81 51.54 57.69
英語(リスニング) 100 62.35 67.24 61.31
国語 国語 200 105.74 116.50 126.67
数学 数学Ⅰ,数学A 100 53.51
数学Ⅱ,数学B,数学C 100 51.56
旧数学Ⅰ・数学A 100 55.65 51.38 59.86
旧数学Ⅱ・数学B 100 61.48 57.74 59.42
地理歴史・公民 地理総合,地理探究 100 57.48
歴史総合,日本史探究 100 56.99
歴史総合,世界史探究 100 66.12
公共,倫理 100 59.74
公共,政治・経済 100 62.66
地理総合/歴史総合/公共 100 47.15
地理総合 50 21.75
歴史総合 50 24.83
公共 50 25.28
旧世界史B 100 58.43 60.28 68.20
旧日本史B 100 59.75 56.27 68.31
旧地理B 100 60.46 65.74 61.43
旧現代社会 100 59.46 55.94 64.96
旧倫理 100 59.02 56.44 54.65
旧政治・経済 100 50.96 44.35 59.84
旧倫理、政治・経済 100 60.59 61.26 62.03
理科 物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎 100 59.95
物理基礎 50 28.19 28.72 24.78
化学基礎 50 29.42 27.31 27.00
生物基礎 50 24.66 31.57 31.39
地学基礎 50 35.03 35.56 34.49
物理 100 63.39 62.97 58.96
化学 100 54.01 54.77 45.34
生物 100 48.46 54.82 52.21
地学 100 49.85 56.62 41.64
情報 情報Ⅰ 100 69.26
旧情報 100 72.82

(注)2023年の平均点は得点調整後のもの

大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は、独立行政法人 大学入試センターが主催する、多くの受験生にとっての第一関門となる共通入学試験です。解答は全てマークシート方式で行います。
 国公立大学の一般選抜に出願するためには受験が必須で、学校推薦型選抜や総合型選抜でも受験が必要な場合があります。また、私立大学の約9割が共通テストを利用する入試を実施しています。
 高校で学習した基本的な内容がしっかり身に付いていることを踏まえ、知識の理解の質や、「思考力・判断力・表現力」が求められる問題が出題されます。また、科目によっては問題数が多く、高得点を取るためには正確な知識に加え、素早く問題を解き進める処理能力が求められます。
 学習指導要領の新課程に対応して初の実施となった2025年度共通テストでは、新たに「情報」が追加されて6教科となりました。併せて、国語と数学、地理歴史・公民では科目の再編や出題内容の追加・変更が発生しています。なお、当年度に限り、高校で新課程を履修していない受験生(高卒生など)への影響を考慮し、旧課程の科目を選択できる経過措置がとられました。

試験日程・会場、各大学への出願

試験は1月13日以降の最初の土曜日・日曜日の2日間に全国で実施されます。試験会場は、現役生は在学している学校が所在する試験地区内、高卒生などは現住所のある試験地区内の会場が指定されます。正解・配点が試験実施後の翌日には公表されるため、受験者は各自で自己採点を行い、その結果に基づいて国公立大学や私立大学の共通テスト利用選抜に出願します。ただし、私立大学の共通テスト利用選抜では、難関大学を中心に共通テスト実施前に出願を締め切る大学もあり、その場合は共通テストの結果を参考にして出願することはできません。

平均点・難易度

大学入試センター試験から共通テストに切り替わった2021年度は、それ以前と同様、各科目の平均点は概ね得点率6割程度で推移していました。しかしながら、実施2年目となった2022年度は、数学Ⅰ・数学A、数学Ⅱ・数学B、日本史B、生物などで前年度に比べ平均点が大幅に下がりました。2023年度は、前年度に平均点が大幅に下がった数学Ⅰ・数学A、数学Ⅱ・数学B、日本史Bは平均点がアップしましたが、生物はさらに平均点が下がりました。そのため、理科②において得点調整が行われました。2024年度は、前年度と比較して平均点に大きな変動はなく、得点調整の実施もありませんでした。
 2025年度は、追加または変更された科目の平均点は、概ね5~7割程度となっています。具体的には、新設された「情報」は69.26点と高めの点数になり、大問が1つ増えた国語も前年比10点アップの126.67点となりました。一方で、出題範囲が変更となった数学ⅡBCは、前年度の旧数学ⅡBと比べて6点ダウンの51.56点になりました。新課程になって初めての出題だったこともあり、難易度の設定が難しかったのではないかと推察されます。
 また大きな変更のなかった残りの科目のうち、理科は基礎科目を含めた全ての科目で、前年度から平均点が下がりました。特に化学は前年比9点ダウン、地学は15点ダウンと大幅な難化となりました。なお、得点調整は全科目で行われていません。

      
【図表1】大学入学共通テスト(本試験) 平均点の推移
教科 科目・出題範囲 満点 2023年 2024年 2025年
出題範囲
外国語 英語(リーディング) 100 53.81 51.54 57.69
英語(リスニング) 100 62.35 67.24 61.31
国語 国語 200 105.74 116.50 126.67
数学 数学Ⅰ,数学A 100 53.51
数学Ⅱ,数学B・数学C 100 51.56
旧数学Ⅰ・数学A 100 55.65 51.38 59.86
旧数学Ⅱ・数学B 100 61.48 57.74 59.42
地理歴史・公民 地理総合,地理探究 100 57.48
歴史総合,日本史探究 100 56.99
歴史総合,世界史探究 100 66.12
公共,倫理 100 59.74
公共,政治・経済 100 62.66
地理総合/歴史総合/公共 100 47.15
地理総合 50 21.75
歴史総合 50 24.83
公共 50 25.28
旧世界史B 100 58.43 60.28 68.20
旧日本史B 100 59.75 56.27 68.31
旧地理B 100 60.46 65.74 61.43
旧現代社会 100 59.46 55.94 64.96
旧倫理 100 59.02 56.44 54.65
旧政治・経済 100 50.96 44.35 59.84
旧倫理、政治・経済 100 60.59 61.26 62.03
理科 物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎 100 59.95
物理基礎 50 28.19 28.72 24.78
化学基礎 50 29.42 27.31 27.00
生物基礎 50 24.66 31.57 31.39
地学基礎 50 35.03 35.56 34.49
物理 100 63.39 62.97 58.96
化学 100 54.01 54.77 45.34
生物 100 48.46 54.82 52.21
地学 100 49.85 56.62 41.64
情報 情報Ⅰ 100 69.26
旧情報 100 72.82

(注)2023年の平均点は得点調整後のもの

出願・検定料

2026年度より、出願手続きが電子化されることになりました。現役・既卒に関わらず、全ての受験生が各自で出願する形に変わっています。受験生は7月~10月にマイページを作成のうえ、9月中旬~10月上旬に出願します。出願の際、受験する教科や受験生情報を登録します。試験本番では事前に登録していない教科(科目数)を受験することはできません。そのため、志望大学の指定する教科・科目を確認したうえで出願する必要があります。
 検定料は、受験する科目が3教科以上の場合は18,000円、2教科以下の場合は12,000円です。成績通知を希望する場合は300円追加されます。出願の電子化に伴い、支払方法がオンライン決済(クレジットカード、ペイジー)またはコンビニエンスストアでの支払いに変更されました。

試験科目

共通テストでどの教科・科目を受験するかは、志望大学の指定によります。国立大学は6教科8科目を指定している大学がほとんどですが、公立大学は3教科などで受験が可能な大学も多くあります。一方で、私立大学の共通テスト利用選抜は3教科が一般的ですが、4教科以上が必要な大学や2教科でよい大学もあり、志望大学の必要教科・科目をあらかじめ把握しておく必要があります。

【図表2】2026年度 大学入学共通テスト出題教科・科目等
教科 出題科目 出題方法等 科目選択の方法 試験時間(配点)
国語 「国語」 「現代の国語」及び「言語文化」を出題範囲とし、近代以降の文章及び古典(古文、漢文)を出題する。   90分(200点)
(注1)
地理歴史 「地理総合,地理探究」
「歴史総合,日本史探究」
「歴史総合,世界史探究」
「公共,倫理」
「公共,政治・経済」
→(b)

「地理総合/歴史総合/公共」
→(a)

(a):必履修科目を組み合わせた出題科目
(b):必履修科目と選択科目を組み合わせた出題科目
(a)の「地理総合/歴史総合/公共」は、「地理総合」「歴史総合」「公共」の3つを出題範囲とし、そのうち2つを選択解答する(配点は各50点)。 左記出題科目の6科目のうちから最大2科目を選択し、解答する。
2科目を選択する場合、以下の組合せを選択することはできない。

(b)のうちから2科目を選択する場合
「公共,倫理」と「公共,政治・経済」の組合せを選択することはできない。
(b)のうちから1科目及び(a)を選択する場合
(b)については、(a)で選択解答するものと同一名称を含む科目を選択することはできない(注2)。
受験する科目数は出願時に申し出ること。
1科目選択 60分 (100点)
2科目選択 130分(注3)
(うち解答時間120分)
(200点)
公民
数学 「数学Ⅰ,数学A」、「数学Ⅰ」 「数学A」については、図形の性質、場合の数と確率の2項目に対応した出題とし、全てを解答する。 左記出題科目の2科目のうちから1科目を選択し、解答する。 70分(100点)
「数学Ⅱ,数学B,数学C」 「数学B」及び「数学C」については、数列(数学B)、統計的な推測(数学B)、ベクトル(数学C)及び平面上の曲線と複素数平面(数学C)の4項目に対応した出題とし、4項目のうち3項目の内容の問題を選択解答する。   70分(100点)
理科 「物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎」
「物理」
「化学」
「生物」
「地学」
「物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎」は、「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」の4つを出題範囲とし、そのうち2つを選択解答する(配点は各50点)。 左記出題科目の5科目のうちから最大2科目を選択し、解答する。受験する科目数は出願時に申し出ること。 1科目選択 60分(100点)
2科目選択 130分(注3)
(うち解答時間120分)
(200点)
外国語 「英語」
「ドイツ語」
「フランス語」
「中国語」
「韓国語」
「英語」は「英語コミュニケーションI」「英語コミュニケーションⅡ」「論理・表現Ⅰ」を出題範囲とし、【リーディング】及び【リスニング】を出題する。受験者は、原則としてその両方を受験する。その他の科目については、「英語」に準じる出題範囲とし、【筆記】を出題する。 左記出題科目の5科目のうちから1科目を選択し、解答する。
科目選択に当たり、「ドイツ語」「フランス語」「中国語」「韓国語」の問題冊子の配付を希望する場合は、出願時に申し出ること。
「英語」
【リーディング】
80分(100点)
【リスニング】
60分(注4)
(うち解答時間30分)
(100点)
「ドイツ語」「フランス語」
「中国語」「韓国語」【筆記】
80分(200点)
情報 「情報Ⅰ」     60分(100点)
  1. (注1) 「国語」の分野別の大問数及び配点は、近代以降の文章が3問110点、古典が2問90点(古文・漢文各45点)とします。
  2. (注2)  地理歴史及び公民で2科目を選択する受験者が、(b)のうちから1科目及び(a)を選択する場合において、選択可能な組合せは以下のとおりです。
  3. •(b)のうちから「地理総合,地理探究」を選択する場合、(a)では「歴史総合」及び「公共」の組合せ
  4. •(b)のうちから「歴史総合, 日本史探究」又は「歴史総合,世界史探究」を選択する場合,(a)では「地理総合」及び「公共」の組合せ
  5. •(b)のうちから「公共,倫理」又は「公共,政治・経済」を選択する場合、(a)では「地理総合」及び「歴史総合」の組合せ
  6. (注3)  地理歴史及び公民並びに理科の試験時間において2科目を選択する場合は、解答順に第1解答科目及び第2解答科目に区分し各60分間で解答を行いますが、第1解答科目及び第2解答科目の間に答案回収等を行うために必要な時間を加えた時間を試験時間とします。
  7. (注4) 【リスニング】は、音声問題を用い30分間で解答を行いますが、解答開始前に受験者に配付したICプレーヤーの作動確認・音量調節を受験者本人が行うために必要な時間を加えた時間を試験時間とします。 なお、「英語」以外の外国語を受験した場合、【リスニング】を受験することはできません。

国公立大学の多くで指定される6教科8科目の標準的な組み合わせは、以下の通りです。

【文系】

外国語、国語、数学(2科目)、地理歴史・公民(2科目)、理科(基礎科目は4つの出題範囲から2を選択解答)、情報
※理科は「基礎科目」=「1科目」と数えて6教科8科目となります。

【理系】
外国語、国語、数学(2科目)、地理歴史・公民(1科目)、理科(専門科目を2科目)、情報

各大学の理科の指定については、国公立大学の文系は「基礎」、理系は「専門2科目」が一般的ですが、看護などの医療系や生活科学系の場合は大学によって指定が異なる場合もありますので注意が必要です。また、私立大学の共通テスト利用選抜の場合は、文系は国公立大学と同様に「基礎」が一般的ですが、理系は「専門1科目」の指定が大半で「専門2科目」の指定は医学部医学科や難関大学の一部等ごく少数となっています。

2025年度共通テスト志願状況

5回目の実施となった2025年度は、志願者数が495,171人(前年491,914人)でした。微増とはいえ、これまでの減少傾向から一転して、7年ぶりに増加する結果となりました。志願者の内訳は、現役生が425,968人(前年419,534人)、既卒生が64,974人(前年68,220人)でした。現役生は増加した一方、既卒生は減少しています。共通テストにおける現役生占有率(86.0%)は、過去最高の数値となっており、既卒生の志願者数は年々減少しています。
 共通テスト志願者を含めた高等学校卒業見込者の数は、令和4年に初めて100万人を割り、令和6年には92万人台まで落ち込みました。ただ、令和7年は一転して93万人台に増加しています。これは、平成18年に出生数が増加に転じたことが背景にあると考えられます。その後の出生数推移を考慮すると、高等学校卒業見込者数、および共通テスト志願者数は、しばらくは横ばいで、その後は減少すると予想されます。

※令和6年度学校基本調査(文部科学省)、令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-(厚生労働省)より