大学入試の基礎知識:学校推薦型選抜・総合型選抜

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学校推薦型選抜と総合型選抜の違い

学校推薦型選抜とは、高校の推薦書の内容を重視する選抜方法で、出願するためには出身学校長の推薦が必要となります。高校が示す推薦書により、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」という学力の3要素を評価して、それに加えて共通テストや小論文、実技の学力などの評価も必須となります。学校推薦型選抜は、高校を問わず出願できる「公募制」と、大学が指定した高校の生徒のみが出願できる「指定校制」に大別されます。いずれの方式も、合格した場合は必ず入学しなければならない「専願制」がほとんどですが、私立大学の公募制では他大学との併願が認められている場合もあります。

一方で総合型選抜とは、志願者の表現能力や意欲などを重視する選抜方法です。高校の推薦書は必要とせず、志願者が提出した志望理由書やエントリーシートに基づいて丁寧な面接を実施し、学びに対する意欲や適性などを評価します。また、それに加えて共通テストや小論文、実技の学力などの評価も必須となります。学校推薦型選抜と異なり、合格した場合でも入学を辞退できるケースがほとんどですが、最終出願の段階までいくと入学辞退ができなくなる場合が多くなりますので、入試要項でよく確認をしましょう。

【図表11】学校推薦型選抜・総合型選抜の特徴
区分 学校推薦型 総合型
公募制 指定校制
学校長の推薦 必要 必要 不要
主な選考方法
  • 書類審査
  • 面接
  • 学科試験
  • 面接
  • 小論文
  • 書類審査
  • 面接
  • 小論文
入学辞退

不可

  • 私立大学では可の場合あり
不可

  • 最終出願後は不可の場合あり
  • 【図表11】は一般的な特徴であり、各項目について例外があります。
【図表12】各入試方式の入学者数(令和4年度)単位:人
区分 入学者数 内訳  ( ) 内は比率
一般入試 学校推薦型
選抜
総合型
選抜
その他
国立大学 97,707 80,242
(82.1%)
11,450
(11.7%)
5,439
(5.6%)
576
(0.6%)
公立大学

34,209

23,888
(69.8%)
8,823
(25.8%)
1,294
(3.8%)
204
(0.6%)
私立大学

496,615

204,089
(41.1%)
207,184
(41.7%)
78,175
(15.7%)
7,170
(1.4%)

※ 文部科学省「令和4年度 大学入学者選抜実施状況」に基づき作成

国公立大学の学校推薦型選抜・総合型選抜

国公立大学の学校推薦型選抜・総合型選抜は、出願条件として評定値に基準(平均評定値4.0以上など)が設定されていることが多く、募集人員が少ないのが特徴です。また、一般選抜と同じく共通テストが課されることもあります。共通テストを課す選抜の場合、合格者の共通テストの得点は一般選抜の合格者の得点とほとんど変わらないことから、基礎学力がしっかりと身に付いていなければ合格することは困難といえます。

各大学での個別試験は面接、口頭試問、小論文などが中心ですが、そこには学力的要素が含まれていることもあります。例えば、「小論文」といっても実質的には「総合問題」と捉えた方がよいものもありますし、大問ごとに数学、物理、化学などに分かれて出題されることもあります。また「面接」も口頭試問に近い場合もあります。したがって、受験する場合は事前に試験内容をよく調べるなどの入念な準備が必要となります。

また近年増加しているのが、医学部医学科の地域枠推薦です。地域枠は、主に地元の医師不足を解消することが目的で設置されており、卒業後の勤務地が特定の地域に限定されることがほとんどです。多くの大学で地元の高校出身者しか出願できないなどの制約もありますので、出願には十分な注意を払う必要があります。

私立大学の学校推薦型選抜・総合型選抜

私立大学では学校推薦型選抜・総合型選抜による入学者が全体の半数以上を占めており、一般選抜と並ぶ規模の選抜となっています。私立大学は国公立大学ほど学校推薦型選抜と総合型選抜のすみ分けがはっきりしていないため、学校推薦型選抜でも公募制・指定校制のほかに、高校の推薦書を必要としない「自己推薦型」の方式を実施している大学もあります。これは総合型選抜と同様に、高校の推薦書を必要としない代わりに、受験生自身が意欲、特技、長所などを記した自己推薦書を作成することが必要になります。

先述したとおり、学校推薦型選抜でも公募制では入学を辞退できる大学もあります。この場合は複数の大学を受験することができるため、一般選抜よりも高い競争率になる場合があります。また、学力試験がある場合にはレベルも一般選抜と大きく変わらない場合もありますので、各大学の選抜方法をよく理解し、学力試験に対する準備を早めに始めておく必要があります。