2018年度実施「大学入学共通テスト」試行調査(プレテスト)分析
(数学Ⅱ・数学B)

2018.12.03

2018年実施「大学入学共通テスト」試行調査で出題された問題について、各科目ごと、出題における特徴的な点、設問ごとの分析などを公開しています。

プレテスト分析 数学Ⅱ・数学B

 

試験概要

配点 100点
試験時間 60分

 

出題における特徴的な点(2017年度実施の試行調査との比較)

  • 数学IIについては、「いろいろな式」以外の全分野から満遍なく出題された。

  • 数学Bについては、「確率分布と統計的な推測」の分野が第3問として出題されるなど、テーマ順の変更があった。

  • 条件式に合うグラフを選ばせる問題や、1つの課題について複数の解法を挙げ、それらを対比させる問題が引き続き出題された。

 

第1問 (三角関数、微分・積分の考え、指数関数・対数関数)

  • 〔1〕~〔3〕とそれぞれ異なるテーマから出題された。

  • 〔1〕は三角関数についての問題であった。
    (2)は誘導がないため、難しく感じた者も多かったかもしれない。
    特徴的な3点における値に着目して選択肢を絞り込むなど、直観的な解法も可能である。

  • 〔2〕は微積分の問題であった。
    (3)の後半は積分計算が必要なく、定積分の意味が理解できているかが問われた。

  • 〔3〕は「対数ものさし」を組み合わせた「計算尺」を題材に、対数の基本的な演算規則を距離の概念に結び付けて考えられるかをみる問題であった。
    ほとんどの受検生にとって馴染みのない題材と思われるため、まず問題文で与えられている操作が何を意味するかを読み解くことに苦労したのではないか。

 

第2問 (図形と方程式)

  • 〔1〕と〔2〕の2部構成となっていたが、それぞれ独立した内容であった。

  • 〔1〕では、与えられた条件を満たすように、2つの食品をどの割合で食べればよいかを考察する問題であった。
    与えられた条件を座標平面上の領域や直線として表現できるかが問われた。
    中には丁寧な議論を要する設問もあったが、全体を通すと標準的な問題であった。

  • 〔2〕は軌跡をテーマにした2つの独立した小問からなる問題だった。
    (2)は中央の円に着目すれば解答の見当をつけられる。
    最も考えやすい円を見出す直観力が重要となる。

 

第3問 (確率分布と統計的な推測)

大学生の読書時間に関する統計調査の結果を基に、ある大学の学生の読書時間の平均を推定するという問題である。
全体的に「統計的な推測」の分野に重点が置かれているが、難易度・計算量ともに現行のセンター試験と大きな差はない。
しかし、後半では「標本平均」や「信頼区間」の意味を問う問題が出題された。

 

第4問 (数列)

複雑な漸化式の一般項を求める問題である。
数列の和を求める設問が一切ないなど、出題内容に偏りが見られる。

  • (2)以降では丁寧に誘導された2通りの解法が提示されているが、どちらの解法とも経験がないと、解答は厳しいだろう。

  • (5)では(2)、(3)で与えられた方法を振り返り、それを適切に修正することが必要となる。
    どちらの方法でも解答は可能だが、どちらを選択するかによって計算量が大きく変化するため、より適切な解法を選択したい。

 

第5問 (ベクトル)

空間ベクトルの問題であり、立体的な感覚があると有利である。
難易度は現行のセンター試験と大きな差はない。

  • (1)(ii)は誘導が必ずしも見慣れた形ではないので、手が止まってしまった者も多いと考えられる。
    問題文に書かれたヒントに従って、式変形をすることが求められる。

  • (1)(iii)(iv)では2つの方針が記載されているところが、センター試験との相違点であり、設問により適切な方針を判断する力も問われている。

  • (2)は、立体を変形させるあまり見慣れない設問であったため、戸惑った受検生も多かったと思われる。
    (1)で与えられた方針に従って式変形を行おう。

 

対策としてどのような学習が効果的か

普段から計算力だけでなく、数式の定義や概念、例えば導関数とは何か、導関数がどのような性質を持つのかといったことも考えておくとよい。
加えて、今計算している値はどのような意味を持っているかを意識しながら計算をしよう。

今回の問題は全体的に誘導があまり多くないため、解答に必要な情報を見失う可能性がある。
また、1つの問題に対して複数の解法が考えられるものも多い。
余裕があれば、授業の解説や他の生徒の解答を比較することによって、別解を考える癖をつけておくとよい。
見慣れない題材を用いた問題が出題されたときに、それらの中から解法を見出す一助にもなる。

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