時事王 代々木ゼミナール×読売中高生新聞

2022.07.01

読売中高生新聞「時事王」掲載問題の解答ポイントなどを公開。テストに役立つ時事を学ぼう!

読売中高生新聞「時事王」掲載問題の解答ポイントなどを公開。テストに役立つ時事を学ぼう!

2022年7月1日号

A面「ワークシート」の解答ポイント

【問1】

畜産物の生産量を思うように増やせない事情とは何だろうか。【資料1】を参考に説明してみよう。

 

【解答例】
人口増加にあわせて畜産物の生産を増やすには、飼料となる穀物を栽培する農地や牧草地を増やす必要があるが、地球の陸地には限りがあり、増やせる農地や牧草地には限界があるため。

 

【解説】
経済成長に伴い、先進国のみならず、新興国においても食肉や生乳などの畜産物の需要は増大しています。
この需要の増大にあわせて供給も増やさなくてはならないのですが、ここ50年間で、世界の農地面積はさほど増えていません。
地球上に占める陸地の割合は約3割であり、農業に適した土地はより少ないといえるでしょう。さらに、現在ある農地においても、土壌の劣化という問題が進行しています。
化学肥料に依存したこともあり、養分に偏りのある土壌が増えました。農業生産を無理に増大させようとして土地を酷使すると、砂漠化が進行していきます。
また、乾燥した土地で無理に農耕を行おうとすると,塩類が集積し,農業に向かない土地となってしまいます。
そこで森林を伐採して新たに農地を増やそうとすると、今度は地球温暖化という別の問題を引き起こすことになります。ちなみに家畜からも温室効果ガスは発生しており、地球全体の発生量の約14%を占めると言われています。

 

【問2】

【資料2】では、「たんぱく質危機」解決の方法の1つとして昆虫食が挙げられている。昆虫食の方向性は、①原形をとどめず加工する、②原形のまま加工しない、の大きく2つに分けることができる。あなたが昆虫食の商品開発を担当することになったと仮定して、どちらの方向性で開発を進めていくか。どちらかを選んだ上で、新商品・新メニューを提案してみよう。

 

【解答例1】①
「コオロギクッキー」。昆虫の原形をとどめたまま利用すると、見た目に抵抗感のある人も多いと予想し、加工しやすさも考慮に入れて粉末状にして利用する。
てんとう虫やカブトムシなど可愛い虫の形にして、手に取ってもらいやすいようにする。

 

【解答例2】②
「コオロギソフトクリーム」。ソフトクリームの上に原形をとどめたコオロギの素揚げをのせる。
「甘いものに群がる昆虫」という構図はインパクトも大きく、各種SNSに投稿してもらうことで、商品の知名度も向上するのではないだろうか。

 

【解説】
【資料2】にもあるように、昆虫食の習慣は世界各地にあります。アジア・アフリカを中心に、約20億の人びとが1900種以上の昆虫を食用としているそうです。
また、日本においても、長野県などではイナゴや蜂の子、ざざ虫(カワゲラやトビケラなど水生昆虫の幼虫)などの昆虫が、佃煮や揚げ物の形で食べられています。
たんぱく質の含有量も多く、生産するのに必要なエサも家畜に比べると少なくて済むという利点の多い昆虫ですが、「見た目」という心理的要因から昆虫食はなかなか広まっていないというのが現状です。
【解答例1】では、見た目による抵抗感を軽減するため、昆虫を粉末状に加工することを提案しました。こうした加工は実際の商品にも見られるものです。解答例では、型で形を作りやすいクッキーを提案してみました。
見た目の抵抗感が小さいであろう、てんとう虫やカブトムシなどの形に加工すれば、手に取ってもらいやすいと思います。
一方、【解答例2】では見た目のインパクトを生かした商品開発を提案してみました。6月3日号の3面では、タガメサイダーなどのように、昆虫の原形を生かした商品も掲載されていました。
見た目にインパクトがあるということは、「SNS映え」するということを意味します。各種のSNSに上げてもらうことは、商品や会社を宣伝することにもつながります。
みなさんのような中高生を含む、1990年代後半から2010年頃までに生まれた世代は「Z世代」と呼ばれ、マーケティングにおいても注目されています。この設問では、みなさんの自由な発想力を発揮してもらえればと思います。

 

【問3】

食肉不足を防ぐために、個人や社会ができることは何だろうか。あなたが考えた具体的な方法についてまとめてみよう。

 

【解答例】
食肉も含めた食品ロスを減らす必要がある。個人では、購入リストを作成しておくことで買いすぎを防ぐ、企業側では少量パックも販売することで完売を目指す、品質に問題のない食肉をフードバンクに寄贈するなどの対策が考えられる。

 

【解説】
食肉を含めた食品ロスの問題は、私たちにとって身近な問題の1つです。まだ食べられるにもかかわらず廃棄されてしまう食品である食品ロスの量は、日本において2020年度の推計値で約522万tであり、国民1人あたりに換算すると毎日約113gずつ廃棄されていることになります。この量はお茶碗約1杯分に相当するそうです。
食品ロスは大きく、家庭系(約47%)と事業系(約53%)に分けることができます。
家庭系の食品ロスを減らす取り組みは、個人的に実行できることが多いです。調理されないまま廃棄されるのを防ぐには、買いすぎを防ぎ、保存方法を工夫することが求められます。買いすぎないためには、買い物に行く前に購入リストを作成しておくことが有効ですし、冷凍保存を活用することで、保存期間を長くすることもできます。また、食べ残しを減らすことも大切です。家で料理を作るときは作りすぎに気を付ける、外食、特に食べ放題では頼みすぎに注意することも、食べ残す量の削減につながります。
事業系の食品ロスを減らす取り組みが、今回の設問では「社会ができること」にあたります。小売店での取り組みとしては、大容量のパックでは使い切れない人に向けて少ないグラム数のパックの商品も置き、完売を目指すことなどが挙げられます。また、フードバンクに協力することも食品ロス削減につながります。
フードバンクとは、品質には問題がないにもかかわらず、印字ミスや過剰在庫などで売り出せない食品を企業から譲り受け、児童養護施設や困窮世帯などに食品を無償で提供する活動のことを指します。この取り組みにより、捨てられてしまう食品を有効活用することができます。
ここまでは、捨てられる量を減らすという対処法でしたが、そもそもの供給量を増やそうという技術革新も起こっています。たとえば、6月3日号の2面でも取り上げられている「培養肉」の試みはその一例です。

 

B面「テスト形式」の解答ポイント

【問題1】の問1について

日本は太平洋戦争でアメリカやイギリスなどの連合国軍と戦いました。1945年8月14日に日本がポツダム宣言を受け入れて戦争が終結すると(国民は15日のラジオ放送で終戦を知りました)、日本を占領統治するための機関として連合国軍最高司令官総司令部が、はじめ横浜に置かれ、まもなく東京へ移転します。この機関は日本で、もっぱらGHQという略称で呼ばれていました。
初代の連合国軍最高司令官に任命されたのは、アメリカ陸軍軍人のマッカーサーです。GHQは日本を民主化するため、軍隊の解散や財閥解体、農地改革などの政策を日本政府に指令・勧告し、実施させていきました。
なお、イのNATO(北大西洋条約機構)は、ヨーロッパ諸国や北アメリカのいわゆる西側諸国によって結成された、集団で安全を守るための組織の略称です。昨今のウクライナ情勢で注目されています。
ウのWHO(世界保健機関)は、世界の人々の健康保持と増進を目的とした国際連合の専門機関です。現在は新型コロナウィルス感染症への対応などを行っています。

 

【問題1】の問2について

アメリカに占領された沖縄は、本土に復帰するまでアメリカの統治下に置かれていました。このため、当時沖縄の住民が東京など本土に渡航する際には、日本国民が外国へ渡航する際のようにパスポートやビザが必要とされました。この特別なパスポートを発行した「琉球列島米国民政府」とは、沖縄の占領直後に置かれていた「琉球列島米国軍政府」にかわって、1950年にアメリカが設置した沖縄の統治機関です。この機関は沖縄の本土復帰まで存続していました。

 

【問題1】の問3について

沖縄が本土に復帰した年を直接覚えていなくとも、今年(2022年)が「沖縄の本土復帰から50年の節目」にあたるという記事の書き出しに着目すれば、引き算で答えられるでしょう。
日本の佐藤栄作首相とアメリカのニクソン大統領は1971年に沖縄返還協定を結び、返還が実現したのは1972年5月15日でした。
なお、1951年に調印されたサンフランシスコ講和条約でアメリカの施政権のもとに置かれた地域は沖縄以外にもありました。そのうち奄美(あまみ)諸島(鹿児島県)は1953年に、小笠原諸島(東京都)は1968年に、それぞれアメリカから日本へ返還されました。

 

【問題2】の問1について

隋は、200年以上分裂状態の続いていた中国を久しぶりに統一した王朝でした。まもなく倭国(日本)で推古天皇が即位すると、聖徳太子(厩戸皇子(うまやどのおうじ))らが政治改革を進め、その一環として遣隋使が派遣されました。小野妹子は607年の遣隋使に任命された役人ですが、遣隋使はそれ以前にも派遣されたと考えられています。
現在、末尾に「子」がつく男性の名前は多くありません。しかし、聖徳太子とともに政治改革を進めた人物には蘇我馬子がいますし、大化の改新を中大兄皇子とともに行った中臣鎌足も、以前は中臣鎌子(かまこ)と名乗っていました。このように、古代には男性の名前が「子」で終わることは、それほど珍しいことではありませんでした。

 

【問題2】の問2について

戸籍とは、ある人(日本国民)が生まれてから死亡するまでの、親族関係が記録された公的な文書です。戸籍は、結婚の手続きをする際などに写しを提出する必要があります。戸籍は日本人にとってなじみ深いものですが、親族関係の変遷を一つの文書にまとめた戸籍のような文書は、現在、世界の中でもアジアのいくつかの国や地域にしか存在しません。
一方、戸籍と似たものに住民票があります。こちらは、その人がある住所に住んでいることを証明するための文書で、氏名・住所のほかに生年月日や性別などが記載されています。住民票は、運転免許証を取得する際などに写しを提出する必要があります。引っ越した場合には新しい市区町村へ住民票を移すことになりますが、全国の市区町村が管理する住民基本台帳の情報は、現在「住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)」により全国共通で確認可能となっています。

 

【問題2】の問3について

アの光宙は、「光」の字が訓読みでヒカ(ル)、ヒカリと読めますし、「宙」の字は音読みでチュウと読みます。
イの大空は、「大」「空」それぞれの字でスやカイと読むことはできませんが、「大空」という言葉の意味は英語のsky(スカイ)に対応しています。
一方、ウの太郎については、「郎」の字は音読みでロウと読みますが、「太」の字をジと読むことはできません。「太郎」全体で考えても、ジロウという読みや意味には対応しません。(『広辞苑』によれば、「太郎」には「長男の称」などの意味がありますが、「次郎」は「第二番目の男子」などの意味となっています。)したがって、ウは「字の音訓や意味と関係のない読み方」ということになります。

 

 

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2022年6月3日号

A面「ワークシート」の解答ポイント

【問1】

鉄道やバスのローカル線廃止でどのような問題が起きるか、いくつか挙げてみよう。

 

【解答例】

  • 高齢者や高校生以下など自動車を運転できない人々の、遠方への自立的な移動手段がなくなる。

  • 観光客が気軽に立ち寄りにくくなり、経済面や人の交流の面で活力が失われる可能性がある。

  • 鉄道が廃止されて地図から消えると、交通不便な地域だという印象を持たれやすい。

 

【解説】
鉄道や路線バスの廃止の可能性を突きつけられた地域の人々になったつもりで考えてみましょう。
列車が1日数往復といったレベルになると、利用者の大半がという状況であることが多いようです。
広島市と岡山県新見市とを結ぶJR芸備(げいび)線についてのネット上のコメントで、広島県寄りの駅から新見市内の高校に通う3年生が、廃止されると後輩が困ると気遣っていました。
自動車を運転できない人は、高校生以下に限りません。日本の少子高齢化のため、運転免許を返上した高齢者などむしろ増えていきそうです。
頻繁には利用しづらいタクシーを除くと、遠方へは家族などの車に乗せてもらうしかなく、自立的な移動手段が失われることになります。
以上は、新しい人権として主張されている国民の交通権(移動権)にかかわるので、安易に「自家用車にすればよい」とは言えないのです。
そのほか、とくに鉄道は地図で目立つので、沿線の景観とともに観光客を誘導しやすく、確実な交通手段があるという安心感も与えます。また、観光は、都会からの移住の最初のきっかけになるかもしれません。
鉄道そのものは赤字でも、観光が起点となる人の交流などの効果や、交通権(移動権)の保障について、評価してはどうでしょうか。

 

【問2】

国が出資しているJR四国や北海道と違い、JR西日本は純粋な私企業である。その社長になったつもりで、資料を参考に、地方路線の問題にどう取り組むか方針を考えて、まとめてみよう。

 

【解答例】
純粋な私企業、しかも東京証券取引所に株式を上場しているので、赤字経営を続けることは許されない。
コロナ禍で新幹線や都市部の鉄道も乗客が減少しているので、地方路線の赤字を放置することも許されない。
一方で、旅客交通という公益事業を担っているので、安易に赤字路線廃止を決めることも許されない。
このようなジレンマがあるので、赤字路線の沿線の住民・自治体と、意見交換などを重ね、上下分離方式やBRTの事例も参考にしてもらい、赤字を軽減する具体策で合意したい。

 

【解説】
発足当初のJR各社は国の国鉄清算事業団が株主でしたが、2002年の東日本を筆頭に東海・西日本・九州の4社が完全民営化されています。
いずれも株式が投資家により売買される上場企業ですので、黒字経営により投資家に利益をもたらす義務があると言えます。
実は、地方路線の赤字の金額自体は莫大ではなく、新幹線や都市部の鉄道の黒字額で経営上、十分カバーできるレベルでしたが、コロナ禍で一時的に新幹線や都市部の鉄道も赤字化したほどで、余裕が全くなくなりました。
一方で、旧国鉄の赤字線廃止も経て鉄道事業を受け継いだという公共的な役割も重大です。また、単純なバス転換では、先細りでバス便も減便したなどの事例があり、地元の理解を得るのが困難かもしれません。
地元自治体が大きく関与する上下分離方式や、地域交通として利便性が高まりそうなBRT、そのほか鉄道を活かした観光や町づくりによる増収など、何らかの前向きな策で地元の住民・自治体と合意すれば、コロナ禍が続かない限り、当面の問題は解決できるでしょう。

 

【問3】

コロナ禍による乗客減少は一時的だろうが、日本の少子高齢化とともに、鉄道の地方路線の赤字化が進むと予想されている。それでも路線を存続させるべきなのか、廃止はやむを得ないのか、自分の考えをまとめてみよう。

 

【解答例】
列車が1日数往復というレベルだと、費用をすべて鉄道会社に負わせるのは無理だろう。上下分離方式は自治体の負担が大きくなりそうだが、鉄道として存続できる合理的な対策だと考える。
また、鉄道の地方路線が不便と言われてしまう理由として、便数の少なさとともに、学校や病院といった需要の多い地点の近くに駅がないことが多い点がある。
BRTは専用道を通り定時運転をしやすいので、単純なバス転換より利点が多い。ただし、BRTも専用道への投資が必要なので、鉄道会社は負担を覚悟しなければならない。
このような方策がとれるのは、鉄道会社の経営が健全な場合や、自治体の費用負担が許容される場合だろう。それらの条件がなければ、単純なバス転換を含む鉄道廃止はやむを得ないだろう。

 

【解説】
たとえばJR北海道は鉄道事業の赤字が莫大で、不動産業などで補う大手私鉄のような経営も困難です。しかも札幌圏以外の人口減少のため、JRの中でも鉄道廃止が速く進んでいます。
このように、鉄道会社の経営が健全でないと、BRTへの投資さえ困難になりかねません。もう一つの対策として資料で紹介された上下分離方式は、鉄道のない地域の人々も納得するような重要路線でないと、自治体の費用負担は許容されないでしょう。
鉄道会社が新幹線や都市部の鉄道の黒字で赤字路線を維持することが困難になりつつある今後は、赤字でも存続すべき重要度をもつ路線を上下分離方式などで維持するといった事例が増えていくことでしょう。

 

B面「テスト形式」の解答ポイント

【問題1】の問1について

沖縄県宜野湾市に所在する普天間飛行場は、市街地に位置し、住宅や学校で囲まれ、これを利用する航空機が市街地上空を飛行するため、世界で最も危険な飛行場と言われています。
1995年にはアメリカ海兵隊員による少女暴行事件が起こると、反基地運動が高まり、県民総決起大会や基地の賛否を問う住民投票が行われました。
事件や飛行場内での航空機墜落事故を契機に日米間で協議機関が設けられ、普天間飛行場の県内移転と全面返還が合意されました。
しかし、県内(名護市辺野古の沿岸部)に移転することへの反対意見は根強く、今現在も移転のめどはたっていません。

 

【問題1】の問2について

日本が独立を回復した1951年のサンフランシスコ講和条約第3条によって、沖縄地域および住民に対する行政・立法・司法上の権限が、無期限にアメリカに与えられることになりました。
沖縄に対する優越的な権限を得たアメリカ軍は、沖縄を「太平洋の要石(キーストーン)」と呼んで重視し、沖縄本島を中心に巨大な軍事基地を建設して極東戦略の策源地としました。
記事内にもあるように、ベトナム戦争では出撃拠点として沖縄県内の基地が活用されています。

 

【問題1】の問3について

沖縄が本土に復帰した1972年当時、日本全国の米軍専用施設面積に占める沖縄県のそれの割合は約58.7%でしたが、本土では米軍基地の整理・縮小が沖縄県よりも進んだ結果、現在では全国の米軍専用施設面積の約70.3%が沖縄に集中しています(「沖縄から伝えたい。米軍基地の話。Q&A Book 令和2年版」より)。

 

【問題2】の問1について

少年法は、少年の健全な育成を図るため、非行少年に対する処分やその手続などについて定める法律です。少年法による手続・処分の特色として、

  • 少年事件については、検察官が処分を決めるのではなく、全ての事件が家庭裁判所に送られ、家庭裁判所が処分を決定すること

  • 家庭裁判所は、少年に対し、原則として、刑罰(懲役、罰金など)ではなく、保護処分(少年院送致など)を課すこと

などが挙げられます。(以上、法務省HPより)

1949年の施行以来、大きな改正はしばらく行われませんでしたが、2000年以降、後述する2022年改正の他にも、刑事罰対象年齢の16歳から14歳への引き下げ、少年に科す有期刑の上限の15年から20年への引き上げなど、厳罰化を柱とする法改正が度々行われています。

【問題2】の問2について

少年法は、その目的を「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずる」(第一条)としています。
前述したように、家庭裁判所は、少年に対しては原則として、更生(立ち直り)を目的として保護処分(少年院送致、保護観察)を課します。
少年院送致では、対象者を少年院に収容し、その特性に応じた矯正教育などを行ったり、保護観察では、対象者を施設に収容せず、社会内に置いたまま、保護観察所が指導監督、補導援護を行ったりして、少年に更生の機会を与えます。

【問題2】の問3について

選挙権年齢や民法規定の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ、18・19歳の者は、社会において、責任ある主体として積極的な役割を果たすことが期待される立場になりました。それに対応して、2022年4月施行の改正少年法においては、18・19歳の者が罪を犯した場合には、その立場に応じた取扱いとするため、「特定少年」として、17歳以下の少年とは異なる特例を定めることになりました。主なポイントは下の2つになります。

① 少年法の適用

  • 18・19歳も「特定少年」として引き続き少年法が適用される

  • ただし、原則逆送対象事件の拡大や、逆送決定後は20歳以上の者と、原則同様に取り扱われる(例えば、有期懲役刑の期間の上限が17歳以下の少年と比べて引き上がる)ようになる

② 実名報道の解禁

  • 少年のとき犯した事件については、犯人の実名・写真等の報道が禁止されているが、18歳以上の少年(特定少年)のとき犯した事件について起訴された場合には、その禁止が解除される

(以上、法務省HPより)

 

 

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2022年5月6日号

A面「ワークシート」の解答ポイント

【問1】

性別にもとづくアンコンシャス・バイアスにはどのようなものがあり、それはどのような問題を引き起こすと考えられるか。資料やイラストを参考に、具体的な例をいくつかあげてみよう。

 

【解答例】

  • 子育て中の女性社員に対して、本人の意思や状況を確認することもなく、責任の重い仕事を与えない方がいいと一方的に決めつけてしまうと、女性社員のやる気を奪うだけでなく、男女格差の拡大をも招いてしまう。

  • 親や教師が「女子は理系が苦手」と思い込んでいると、いつのまにか子どもや生徒も同じ思い込みを抱くようになってしまう。
    また、それによって子どもたちが理系科目に対しておのずと苦手意識をもってしまい、進路にも影響を及ぼしてしまう。
    さらに、「女子は理系が苦手」という偏見は、理系が苦手な男子に対するプレッシャーとなってしまう。

  • 保育士になりたいと思っていた男性が、「保育士は女性の仕事」という思い込みによって自らの夢をあきらめてしまう。

 

【解説】

アンコンシャス・バイアスの問題について具体的に理解できているかを確認する問いです。
【解答例】では、各資料・イラストからそれぞれ一つずつ具体例を指摘しています。
【資料1】では第2段落、【資料2】では教授の回答の内容がヒント。イラストでは、保育士を目指すことをあきらめかけている男性のほか、「女の子は料理をするもの」という価値観を一方的に押しつけられてストレスを感じている女性をとりあげてもいいでしょう。

 

【問2】

日本では、アンコンシャス・バイアスの一つとして「男は外で仕事、女は家で家事・育児」というように性別によって役割を分ける意識が根強く残っている。これについてあなたはどのように思うか、まとめてみよう。

 

【解答例】

現在共働きの家庭が増えており、家事や育児の負担を夫婦で分かち合うことが大切になってきている。
そうしたなかで、「男は外で仕事、女は家で家事・育児」という考えは、妻に仕事・家事・育児という多大な負担を強いることになる。
また、「男は仕事」という思い込みが職場で強いと、夫の側も長時間労働になりやすくなる。
結果として夫婦ともに心身に大きな負担がかかり、少子化の一つの要因にもなってしまう。
昨今、子育て支援や働き方改革などの制度面での対策が進んでいるが、それに加えて社会全体での意識改革も必要だと思う。

 

【解説】

「男は仕事をし、女は家庭を守るべき」という性別役割分業の考え方に賛成する人は一昔前に比べれば減ってきていますが、まだまだ日本に根強く残る価値観です(映画やドラマなどでもそのような考え方をする人物がしばしば登場します)。
しかし、夫婦共働き世帯数は1990年代に専業主婦世帯数を上回り、現代では核家族化も進行しています。
こうした状況で、共働きの夫婦がその親や祖父母の世代、職場の上司などから性別役割分業の考え方を押しつけられると様々な問題が生じます。
男性は長時間労働を強いられる一方、女性の社会進出は妨げられ、育児は孤立化し、少子化に歯止めがかかりません。
もちろん、政府も働き方改革や子育て世帯への経済支援などの対策を行っています。しかし、そのような政策に加えて、社会全体で性別役割分業の意識を見直していく必要もあるでしょう。
制度面の改革と意識面の改革、これらは別々に分かれているのではなく、制度が変われば意識にも変化が生じ、意識が変われば制度改正に向けた動きも生じやすくなるというように、相互に影響を与え合います。
この二つを両輪として動かしながら、家族が安心して暮らせる社会への道を切りひらいていく必要があります。

 

【問3】

【資料1】の下線部「アンコンシャス・バイアスはいつでも、どこでも、誰にでもあり、完全になくすことは難しい」を踏まえて、今後あなたはアンコンシャス・バイアスとどのように向き合っていきたいか、自分の考えをまとめてみよう。

 

【解答例1】

アンコンシャス・バイアスの影響をおさえる第一歩は、資料に書かれているように自分が思い込みを抱いているかもしれないことに「気づく」ことだろう。
そのためには、相手とのコミュニケーションをしっかり行うことが重要だと思う。
相手に抱いているイメージは、実際に面と向かって話してみるとずれていることも多い。
ただし、思い込みから完全に自由になることは難しいため、自分のものの見方が正しいと思わずに、コミュニケーションを通じて柔軟に見方を変えられる姿勢を大事にしていきたい。

【解答例2】

アンコンシャス・バイアスは人間関係をあやうくしかねない。
しかし、アンコンシャス・バイアスは誰にでもあり、完全になくすのは難しい。だから、仮に相手が私に対して何らかの偏見を持ってしまっていたとしても、私はそのこと自体をきつくとがめるのではなく、それは偏見だと丁寧に説明したうえで、お互いがわかり合える道を探すといった前向きな姿勢を大切にしたい。
自分がバイアスに「気づく」だけでなく、このように相手に「気づかせる」ことも必要だと思う。

【解答例3】

世の中には様々な情報があふれている。そうした情報のなかには、物事の一面だけを捉えていたり、それを過度に強調したりしているものもある。
さらに、SNSでは自分の好みの情報ばかりが集まりやすく、その結果偏見が形成されやすくなる。
私は、自分がこのような情報環境のなかにあることを自覚し、常に複数の情報源を比較することで、自分が偏ったものの見方をしていないか自己チェックを行っていきたい。

 

【解説】

問1と問2を通じて、アンコンシャス・バイアスがどのような問題を引き起こすのかについて考えてきました。
問題があるならそれを解決する必要がありますが、【資料1】の下線部でアンコンシャス・バイアスは「完全になくすことは難しい」と指摘されています。
たしかに、私たちは一人ひとり育ってきた環境や普段得ている情報、置かれている立場などが異なりますから、思い込みや偏見から完全に自由に物事を眺めることは困難です。
そのため、【資料1】の最後で書かれているように、今の自分のものの見方や感じ方が絶対的なものではないことに「気づく」ことが重要なのです。

ではどうすればそのような「気づき」が得られるのか、これが問3のポイントです。
【解答例1】は対面コミュニケーションの重要性を指摘しており、【解答例2】は自分だけではなく相手に「気づかせる」ことも必要だと述べ、【解答例3】は身の回りにあふれる情報との向き合い方という視点から意見をまとめています。

他にも、たとえば小説を読んで、人間の複雑な心情や割り切れない気持ちなどを追体験することで、他者への想像力を豊かにし、人を簡単に決めつけない姿勢を身につける、という意見も考えられます。
また、性別に関する思い込みに気づくためには、日本と他国を比較することも効果的です。
日本はまだまだ男性の家事・育児参加がとぼしく、国会議員が育児休暇を取ろうとするだけで世間がざわつくような状況です。
しかし、海外に目を向けると男性が積極的に家事・育児をしている国も多いですし、在任中に産休や育休を取得した首相も見受けられます。
このように外国の状況を調べてみると、日本の「あたりまえ」がグローバルな視点では時代遅れとして映ることもあるでしょう。

グローバル化した現代社会において、男性や女性、子ども、高齢者、障害者、外国人など様々な立場の人々が共に生きるためには、多様性(ダイバーシティー)を認めることが大切です。
そのためにも、アンコンシャス・バイアスに注意して、互いの立場を尊重しながらコミュニケーションをとることが重要と言えるでしょう。

 

B面「テスト形式」の解答ポイント

【問題1】の問1について

スイスはヨーロッパの多くの国を巻きこんだナポレオン戦争後のウィーン会議で、「永世中立国」として国際的に認められました。
以後、世界では様々な戦争が起こりましたが、スイスは200年以上に渡って中立の立場を守りつづけています。

 

【問題1】の問2・問3について

大阪府の人口は約880万人で、スイスの人口とほぼ同じです。
また、九州の面積は4.2万㎢で、スイスの面積とほぼ同じです。
スイスの地理は、南部にはアルプス山脈がそびえ、その北にはスイス高原が広がっています。多くの人々が住んでいるのがこの高原地方です。

 

【問題1】の問4について

EUの正式名称はヨーロッパ連合です。
EUは1993年に、それまでのヨーロッパ共同体(EC)を前身として、成立しました。
EU内のドイツやフランスなどでは、共通通貨のユーロを用いるなど、経済統合を強めています。
現在ではヨーロッパの27カ国が加盟していますが、スイスや2020年に脱退したイギリスなどEUに加盟していない国も少なくありません。
また、スイスはアメリカ中心の集団安全保障機構であるNATOにも非加盟で、当初は国連にも加盟していませんでしたが、冷戦終結後の2002年には国連への加盟を実現させました。

 

【問題2】の問1について

ゼレンスキー大統領は各国の国会で、その国の歴史や社会の関心に則った事項を取り上げて、ウクライナへの支援を引き出そうとしました。
日本の場合は2011年の東日本大震災に伴って生じた福島第一原子力発電所の事故を取り上げて、日本とウクライナで放射能汚染への恐怖を共有していることを強調して日本の関心を得ようと考えたようです。

【問題2】の問2について

② 真珠湾攻撃は1941年12月8日(現地時間では12月7日)に、日本軍がハワイの真珠湾にあるアメリカの海軍基地を奇襲した事件です。
この真珠湾攻撃と同日のマレー半島上陸作戦によって太平洋戦争が開戦し、第二次世界大戦の戦火が拡大しました。
1914年は第一次世界大戦が勃発した年です。

③ 2001年の9月11日に、アメリカで同時多発テロが起きました。
ニューヨークの世界貿易センタービルや、首都ワシントン郊外の国防総省ビルなどの4か所が、ハイジャックされた飛行機を使った自爆テロに襲われたのです。
アメリカは実行者をテロ組織アル=カーイダと認定し、アフガニスタンのターリバーン政権がアル=カーイダを保護しているとして、アフガニスタンに大軍を派遣します。
1991年は冷戦が終結した年です。

②も③もアメリカが奇襲によって大きな被害を受けた事件でした。
ゼレンスキー大統領は、アメリカでの演説ではこれらを取り上げて、ロシアの奇襲を受けたウクライナと重ね合わせてもらおうと考えたようです。

【問題2】の問3について

ヒトラーが率いたナチスはドイツの政権を握ると、ユダヤ人への大規模な迫害を開始しました。
当初はユダヤ人を国外追放にしたり財産を没収したり、強制収容所に収容して労働させたりしていましたが、第二次世界大戦の戦況が悪化するとユダヤ人を虐殺する政策に変わっていきます。
この虐殺政策をホロコーストと呼びます。ホロコーストはドイツ占領下のキエフ(キーウ)でも行われて多くのユダヤ人が殺されたため、市内に慰霊碑が建っています。

イスラエルはユダヤ人の立てた国です。そのため、ゼレンスキー大統領はロシアの侵略でウクライナ国民が虐殺されていることを、ホロコーストと重ね合わせてもらおうと考えたようです。

 

 

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2022年4月1日号

A面「ワークシート」の解答ポイント

【問1】

資料1や図を参考に、なぜ今回のウクライナ危機で原油や小麦の価格が大きく上昇したのかまとめてみよう。

 

【解答例】
まず原油価格の上昇は、アメリカやイギリスなどによる経済制裁の影響が大きい。
ロシアの主要輸出品である原油の買い取りを制限することでロシア経済に打撃を与える狙いであるが、ただしそのことで同時に、世界経済全体が深刻な影響を受ける事態ともなっている。
小麦価格の上昇は、戦争当事国であるロシアとウクライナの両国ともに、小麦の世界有数の産出国であることによる。
原油でも小麦でも、世界全体での流通量が減ってしまうのではないかという不安から、今後の供給量に対しての需要が急激に高まり、それが価格の上昇となってあらわれていると考えられる。

 

【解説】
グローバル化が進む昨今、私たちの生活は、エネルギーや食料品を世界中の国々と融通し合わなければ成り立たないようになっています。
良質な土壌を有するウクライナは「ヨーロッパのパンかご」と呼ばれるほどの穀倉地帯であり、広大な国土を持つロシアはエネルギー資源が豊富です。
戦争などによりそれまで当たり前であった生産活動が滞ると、ヨーロッパをはじめ世界中の国々に深刻な影響を及ぼしてしまうことになります。
どの国が、どんな理由で、どんな産業に強みを持っているのか、時間のあるときに調べてみるのもよいでしょう。

 

【問2】

日本は多くのエネルギー資源を海外からの輸入に頼っており、また食料自給率が低いことでも知られている。
他国に主要なエネルギーや食料品などを依存しているとどのようなときに困るのか、考えてみよう。

 

【解答例】
他国で深刻な天候不順や外交問題などが発生すると、国内的な対処ではどうすることもできないまま、輸入品の数量や価格が大きく左右されてしまう。
また、国内で新しい産業を振興したいと思っても、価格競争の面ではじめから輸入品に負けるなどしていると、思うように振興できないといったことも考えられる。
さらに、ある国に対して何らかの制裁を発動する必要に迫られても、過度な貿易依存があると、そのことでためらってしまう要因となる。

 

【解説】
近年の日本は、原油の輸入の9割ほどを中東諸国に頼っており、石炭の輸入の6割ほどをオーストラリアに頼っています。
エネルギー資源の過度な海外依存という問題を改善していくためには、もともと日本の領土である尖閣諸島や竹島近辺にも眠るとされる、石油や天然ガスなどの資源を有効活用することも重要なカギになると指摘されています。
こういった観点からも、資源が眠ると分かったとたんに領有権を主張しだした中国や、不法占拠を続ける韓国などとの間に抱える領土問題を、早期に解決することが望まれているのです。
また日本は、羊毛・綿花・衣類や、とうもろこし・えび・小麦・砂糖類・果実など、米以外の多くの食料品や農作物などを、海外からの輸入に頼っています。
近年では日本の食料自給率を上げるため、農林水産省が二毛作による小麦の作付け拡大への助成を実施するなど、様々な取り組みを行っています。

 

【問3】

日本は、先進国の中でも難民の受け入れに厳しいことで知られ、しばしば改善を促されている。
資料2も踏まえ、難民の受け入れについてのあなたの考えをまとめてみよう。

 

【解答例1】
一人でも多くの人の命を守るため、このような緊急事態での難民受け入れには全面的に賛成したい。
安全な場所や食事などを提供し、少しでも人道的な支援をしてほしいと思う。
また難民の受け入れは、貴重な異文化交流や他言語学習の機会にもなるはずなので、普段からもっと積極的に行ってもよいのではないかと思う。
今回のことで国家の有事は突然訪れるものなのだという危機感を持った。
国家間のトラブルに際し、様々な国と助け合える関係を平時から構築しておくことは、自国にとっても有益になると考える。

【解答例2】
難民の短期的な受け入れには賛成だ。
ただし、受け入れた難民がそのまま永住などしてしまうかもしれないケースを考えると、条件については慎重に議論するべきだと考える。
少子高齢化問題を抱える日本は、確かに近年、労働力としての若者を近隣諸国から積極的に受け入れるようになっており、徐々に国際社会に対して門戸を開いていっているように見える。
しかし外国人の過度な定住が進んでしまうと、日本という国のアイデンティティが損なわれたり、言葉や文化の違いから暮らしが不便になってしまったりしかねない。
理想も踏まえつつ、現実的な観点からも議論を深めていくべきだと思う。

 

【解説】
多くの難民が出てしまった出来事として記憶に新しいのが、2015年、内戦が続くシリアから大量の難民がヨーロッパへと殺到していったケースでしょう。
今回のウクライナ危機は、これに匹敵する規模となるおそれもあると指摘されています。
難民を受け入れ、その居場所を作るというのは非常に難しい課題ですが、まずはそもそも難民が発生しないような世界になってくれることを願いたいものです。

 

B面「テスト形式」の解答ポイント

【問題1】の問1について

ダーウィンは生物進化論の確立者です。聖書の内容の否定につながる「人間を含めた生物は現在とは別種の共通の祖先をもち、長い時間をかけてそれぞれの種に進化してきた」という説は、19世紀当時、宗教界から猛烈な批判を浴びました。

 

【問題1】の問2について

アイヌとは、アイヌ語で「人間」を意味する言葉です。
アイヌの人々は明治政府による北海道開拓などにより、住む場所を追われることとなりました。
もともと狩猟・漁労をして暮らしていたのですが、明治政府は彼らの農民化を推し進め、アイヌの言葉や文化までをも否定する同化政策をおこないました。
現在では、アイヌ民族は正式に日本の先住民族とみなされ、その伝統文化も保護の対象となっています。

 

【問題1】の問3について

石川啄木は若くして亡くなるまでの間、生活感情あふれる新鮮な短歌を数多く詠みました。
引用されている「ふるさとの…」の歌は、「停車場にいる人たちが使っている話し言葉から、私の故郷の訛りが聞こえてきて懐かしい。人ごみの中に、その訛りをもっとよく聴きにゆくのだ」といった意味になります。
「はたらけどはたらけど猶(なお)わが生活(くらし)楽にならざりぢつと手を見る」も、啄木の歌としてよく知られています。
こういった生活の苦しみは、奈良時代の歌人、山上憶良の「貧窮問答歌」からすでに詠まれていました。
また啄木とも交流のあった与謝野晶子は、女性的な恋心を表現した大胆な歌風や、日露戦争時の「君死にたまふことなかれ」の反戦詩などで有名です。

 

【問題2】の問1について

①は写真からも分かるとおり「雪」。雪の結晶を模した聖火台は2月の北京冬季オリンピックだけでなく、3月開催の北京冬季パラリンピックでも使用されました。
中国では外国の国名も漢字で表記し、プラカードにもあるように「日本」はそのままの漢字で表記しますが、例えばギリシャの漢字表記は「希腊」、2026年に次の冬季オリンピック・パラリンピックを開催するイタリアは「意大利」となります。

【問題2】の問2について

②は「ギリシャ」。
ギリシャが近代オリンピック(五輪)発祥の地とされているのは、古代ギリシャで行われていた4年に1度の競技大会をもとに、1896年、フランスのクーベルタン男爵の提唱によりギリシャのアテネで第1回近代オリンピックが開催されたからです。
冬季オリンピックは1924年にフランスのシャモニーで第1回が開催され、2022年の北京大会は24回目でした。日本では1972年に札幌で、1998年に長野で開催されています。

③は「トンガ」。
トンガは南太平洋の島国で、付近の海底にプレートの沈み込む境界があり海溝や海底火山が分布しています。
2022年1月15日、以前から活動を続けていたフンガ・トンガの海底火山が大規模に噴火し、火山灰の降灰と津波によりトンガの島々は大きな被害を受けました。
この結果、直近の東京オリンピックやピョンチャン冬季オリンピックなどにも出場したトンガ唯一の選手は、北京オリンピックを欠場せざるを得ませんでした。
また、噴火を受けて発生した津波は約8,000km離れた日本列島にも到達し、沿岸部では避難指示が出されました。

【問題2】の問3について

正解はAの「91」の国と地域。
オリンピックを主催するIOC(国際オリンピック委員会)には206の国と地域が参加しています。
1年の延期を経て実施された2020東京オリンピックに参加した国・地域の数は、朝鮮民主主義人民共和国を除く205でした(加えて難民選手団も参加)。
2022北京冬季オリンピックに参加した国・地域の数は、その半分以下の91となっています。
冬季大会ではもともとこのくらいの数であり、スキー、スケート、スノーボードなど冬季オリンピックの競技は熱帯や乾燥帯では費用がかかり普及が難しいためで、開発途上国の多いアフリカからの参加は5か国のみでした。

 

 

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2022年3月4日号

A面「ワークシート」の解答ポイント

【問1】

現在、上野動物園には「シャオシャオ」「レイレイ」を含めて5頭のパンダがいる。
日本の動物園がパンダの個体数を確保する2つの方法について、資料を参考にまとめてみよう。

 

【解答例】
一つは、すでに日本国内の動物園にいるオスとメスを引き合わせ、繁殖させて個体数を増やす方法。
もう一つは、共同研究の一環として、お金を払って中国から借りる方法。

 

【解説】
いずれの方法も、【資料1】から容易に読み取ることができるでしょう。珍しい動物の入手をめぐり、かつては「購入」が認められていたこと、それが1973年の「ワシントン条約」で規制されるようになったことは、背景として再確認しておきましょう。
なお「ワシントン条約」は、高校の公民科目での必修事項で、大学入学共通テスト(従来のセンター試験)でも頻出です。

 

【問2】

資料にある「動物園が果たす四つの役割」も参考にしながら、あなたがこれまで体験して良かったと思う動物園の取り組み、もしくは、今後実現してほしいと思う動物園の取り組みについて、具体的に書き出してみよう。

 

【解答例】
遠出することの難しい高齢者などに焦点を絞った取り組みがあれば、動物園はさらなる社会的役割を果たせるようになると思う。
例えば、小型の動物などを連れて各地域を飼育員が巡回する「移動動物園」のようなイベントが日常的に開催されれば、「四つの役割」における「教育・環境教育」や「市民のレクリエーションの場」などに合致することになると思う。

 

【解説】
日本動物園水族館協会(JAZA)は記事にある「動物園が果たす四つの役割」以外にも、次のような活動を行っているとホームページ上で述べています(以下、該当日本動物園水族館協会(JAZA) 「そのほかの活動」ページから見出しだけ引用)。
・「動物が気持ちよく暮らせる努力をしています」
・「動物を守るため国際的な組織と協力しています」
・「教育係などのスタッフの技術向上に努めています」
・「不正輸入された動物を預かっています」
特に最後の項目については、その説明欄に、「ワシントン条約」による規制があるにも関わらず、「正規の手続きを行わずに、いまだに多くの動物たちが日本に持ち込まれているのも事実です」と、不正輸入をめぐる問題が指摘されています。現代の動物園が担っている役割には、実に多様なものがあると分かります。

 

【問3】

資料にあるように、人類はさまざまな野生動物の保護に努め、「動物福祉」にも取り組んでいるが、他方で動物の肉を食べることもある。
人類と動物との関わりについて、あなたが考えることを自由に書いてみよう。

 

【解答例】
よく考えてみると、人類は「かわいい動物」や「観賞しがいのある動物」を、良くも悪くも他の動物たちより優遇し、そのことで動物種の間に差別を生じさせているかもしれない。
動物たちは本来、それぞれの種が「人類にとってどのような存在か」ということとは無関係に生きてきたはずなのに、現代においては種の絶滅や存続の大部分が、「人類にとってどのような存在か」に依存して決定されがちなように見える。
食用になる動物もいるので、全ての動物種を平等に扱うことは本来的に難しいことは承知しているが、人類がそれぞれの動物種と向き合う際の態度をめぐる問題は、絶えず考え直されていくべきだろう。

 

【解説】
近年、高校「倫理」の資料集などで言及されることの多くなった人物に、ピーター・シンガーという倫理学者がいます。シンガーは食用目的で人が動物を家畜化するなどといった、動物に対する人類の「種差別」を批判し、自らはベジタリアンへと転向しました。「動物の解放」を訴える彼の主張は、多くの学問領域やライフスタイルへと決して小さくはない影響を今でも及ぼし続けています。
シンガーのような考え方は極端だとしても、それぞれの動物種に対する人類の適切な態度とはどのようなものであるべきか、各人が考え続けていく必要があるでしょう。

 

B面「テスト形式」の解答ポイント

【問題1】の問1について

【解説】
はじめにお断りしておきます。ウクライナ問題は非常に根が深く、簡単には話せません。
どうか、地図帳をご覧になりながら、長い話にお付き合いください。

ソ連は、ユーラシア北半の広大な旧ロシア帝国領のほとんど(ポーランドやフィンランドを除く)に建国された「ウクライナ・ソビエト社会主義共和国」など15の共和国を束ねた連邦国家でした。
ロシア、ウクライナ、ベラルーシ(ソ連時代は「はくロシア」)など4共和国からなる連邦国家としてのスタートは1922年。その百周年にロシアのウクライナ侵攻……、偶然なのでしょうか?

第二次世界大戦で社会主義国ソ連は、資本主義国アメリカ、イギリス等とともに連合国として枢軸国(大日本帝国と同盟したドイツ、イタリア等)と戦い勝利しましたが、戦後は主としてアメリカ・西欧諸国の軍事同盟NATO(北大西洋条約機構)とソ連・東欧諸国の軍事同盟WP(またはWTO、ワルシャワ条約機構)とが敵対した冷戦で疲弊しました。
1989年12月に米ソ首脳が「マルタ会談」で東西冷戦の終結を宣言した頃から、(1)東欧諸国の革命(社会主義政権を打倒しWPは解散)、(2)ソ連構成国が主権宣言や独立宣言を断行、(3)ソ連構成国の内部で少数民族などが独立を志向――という、桶のたがが3組同時に外れそうな状況になりました。

1990年にソ連構成国の独立宣言が始まり、1991年9月にバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の独立をソ連が承認して国連に加盟。
同年12月には残る12か国の独立が実現してソ連は消滅。ロシアがソ連の継承国となって国連安全保障理事会の常任理事国に就き、ソ連とともに国連の原加盟国に名を連ねていたウクライナ、ベラルーシを除く旧ソ連の残る9か国も1992年に国連に加盟しました。
その際に、ウクライナ等にも配備されていた核兵器は条約によりすべてロシアに移され、その他14か国は日本と同じNPT(核拡散防止条約)の「非核兵器国」になりました。

 

【問題1】の問2について

【解説】
ロシア帝国は、真冬も使える不凍港の確保に苦労していましたが、ロシア・トルコ戦争の勝利を経て、オスマン帝国の保護国があった黒海北岸のクリミア半島を1783年にロシア領とし、黒海艦隊の基地を置くなどして、先住のクリミア・タタール人の流出とロシア人流入が進んでいきました。
軍事的に重要なため、ソ連時代もロシア共和国に属していましたが、1954年、17世紀にロシアとウクライナ人が協力関係を結んだ協定の「300周年記念」というおめでたい(皮肉です)理由で、住民の多数がロシア人であるクリミア半島をウクライナ共和国に移管してしまい、そのまま1991年のソ連解体・15か国独立に至ります。

翌年以降、クリミアではウクライナからの独立も視野に入れた住民投票が行われるなど、住民の多数がロシア系であるウクライナ南部(クリミア)・東部地域のロシア帰属志向が高まりました。
これを収めるためウクライナは、クリミアの自治権を認め、ロシアの黒海艦隊基地使用を認める協定を結びました。ウクライナは、ソ連時代からのロシアとの深い軍事・経済関係を無視できませんでした。

その一方で、東欧諸国・バルト三国がEU(欧州連合)に加盟して経済的に西欧諸国と一体化するだけでなく、軍事同盟NATOにも加盟した2000年代になると、ウクライナではロシアとの関係を薄めて欧米諸国との関係を深める志向が強まります。
親欧米の政権が成立した2004年の革命は同政権の内紛などで2010年の大統領選挙で親ロシア政権に戻りますが、この政権が2014年2月の政変で打倒され、暴力がエスカレートしてロシア系住民への攻撃も多発しました。

ロシアのプーチン政権は、まずクリミア半島に介入して同年3月の住民投票で「独立」を選択させ(ウクライナ憲法では国民投票が必要)、ロシアとの条約という手続を経て「ロシア編入」を実現しました。
ウクライナ東部ではロシア系住民が武装闘争に入り、ウクライナの新政権との紛争が勃発します。
フランス、ドイツ両首脳が仲介して、ウクライナと東部のロシア系勢力を代弁するロシアとが停戦をはたらきかける協定(ミンスク2)が2015年2月に成立し、ウクライナ東部のロシア系住民に特別の自治権を与える憲法改正などが合意されましたが、小規模な戦闘が続くなど、事態はこじれたままでした。そして同協定は、2022年のロシアのウクライナ侵攻で無効化しました。

 

【問題1】の問3について

【解説】
結局のところ、ロシアのプーチン政権は、自国領に隣接する国が軒並みNATOに加盟してロシアを「仮想敵国」としており、そこにウクライナが加わることに特段の脅威を感じているのです。
すでにNATOに加盟しているバルト三国のうちエストニア、ラトビアはロシア本土に隣接している(地図の北側ではノルウェーも)ほか、第二次世界大戦の勝利でドイツから獲得した飛び地カリーニングラード州(地図のポーランドとリトアニアに隣接)も今やNATO加盟国に挟まれています。
それらNATO加盟国にアメリカがもし核ミサイル基地を建設すれば、それは1962年にソ連がキューバに核ミサイル基地を建設した時(キューバ危機)の構図とそっくりです。核戦争の危機の再来です。

2月24日からのロシアのウクライナ侵攻による死者は少なくありませんが、何とか28日に両国代表団の交渉が始まりました。
ロシアの最大の要求はウクライナの中立化(NATO加盟を不可能にする保証)でしょう。
ウクライナの要求は即時停戦と、ウクライナ全土からのロシア軍撤退です。

ただし、たとえ両国の交渉がまとまっても、ロシアの軍事行動が合法的な「自衛権行使」ではなかったという非難を免れないでしょう。
そうしたロシア非難の決議は、国連安保理あんぽり(安全保障理事会)では常任理事国ロシアの拒否権行使で成立しませんでした(2月25日)。

似た事例は、ソ連が支援した北朝鮮の韓国侵攻で始まった1950年の朝鮮戦争にアメリカ等が「国連軍」として介入する問題で発生しました。
そうした決定をできるのは安保理だけなのですが、ソ連の拒否権行使で成立しませんでした(アメリカなどの有志国が正式でない「国連軍」として参戦)。
その反省から同年に、安保理で拒否権が行使される場合に、国連の全加盟国による緊急特別総会で勧告を出す等ができる「平和のための結集」決議が成立しました。

日本時間の3月1日、21世紀最初の緊急特別総会が始まり、ウクライナとロシアの国連大使が相手国を非難する演説をしました。
歴史的な緊急特別総会の行方を見ておきましょう。そして、緊急特別総会が軍事侵攻の犠牲者への黙祷もくとうで始まったことも。(3月1日現在)

 

【問題2】の問1について

インドネシア共和国(インドネシア)は、東南アジア南部に位置する共和制国家です。面積は約192万平方キロメートルで日本の約5倍、人口は約2.7億人(2020年)です。
現在の首都はジャワ島に位置するジャカルタですが、2024年から順次、カリマンタン島の東部「ヌサンタラ」に首都機能の移転を本格化させる見通しとなりました。

【問題2】の問2について

( ② )の後ろの「大小1万4000以上の島々からなるインドネシアそのものを表す言葉」から、Bの「群島」が入ると推測できたのではないでしょうか。
ちなみに、記事内の「現地語」はインドネシア語を指します。

【問題2】の問3について

経済連携協定(EPA)とは、貿易の自由化に加え、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作り、様々な分野での協力の要素等を含む、幅広い経済関係の強化を目的とする協定です。自由貿易協定(FTA)と合わせ、日本は2022年2月時点で21の国と地域との間で発効、あるいは署名をしています。
日本とインドネシアのEPAは2008年に締結されましたが、日本が初めてEPAを締結したのは、2002年のシンガポールになります。

 

 

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2022年2月4日号

A面「ワークシート」の解答ポイント

【問1】

資料を参考に、それまで「20歳以上」であった「成人年齢」「選挙権年齢」「裁判員に選ばれる年齢」が、それぞれ「18歳以上」になる(なった)時期についてまとめよう。

 

【解答例】
「選挙権年齢」のみ、2015年(6月以降実施の選挙)から「18歳以上」になった。「成人年齢」と「裁判員に選ばれる年齢」は、いずれも2022年4月1日から同じタイミングで「18歳以上」へと引き下げられる。

 

【解説】
これらに先立つものとして、2010年施行の「国民投票法」があります。日本国憲法を改正するために必要な国民投票の手続きについて規定したもので、その投票権年齢が、「18歳以上」とされていました。
つまり施行順に、2010年に「国民投票の投票権年齢」が、2015年に「選挙権年齢」が、2022年に「成人年齢」と「裁判員に選ばれる年齢」、および資料にもある「少年法の保護を原則として受けなくなる年齢」が、それぞれ「18歳以上」へと設定されたり、引き下げられたりしてきたことになります。
(2022年4月施行の改正少年法では、罪を犯した18歳・19歳の者は「特定少年」の扱い。)
なお諸外国では18歳成人が主流であり、19歳成人の国には韓国、20歳成人の国にはニュージーランドなどがあります。

 

【問2】

18歳、19歳という若い裁判員の登場には、どのような司法的・社会的意義があるだろうか。また、そこに否定的な側面はないのだろうか。あなたの考えをまとめてみよう。

 

【解答例】
高校生や、高校を出たての若者などは、人生経験や法的知識に乏しい分、かえって「何が正義であるのか」を純粋に判断する心を保持していると思う。今回の対象者年齢の引き下げでは、そのような純粋さを発揮することが求められているのではないだろうか。
一方で、もしかすると若者は、例えば「この加害者は許せない」といった激しい感情に呑み込まれてしまいがちかもしれない。極端な判断を下してしまわないよう、気をつけておかねばならない。

 

【解説】
「読売中高生新聞」2022年1月14日号の特集記事には、裁判員制度をめぐって高校生が出した質問に対する、現職裁判官による回答も載っています。
回答した裁判官は、裁判員裁判に参加するにあたり「専門的な法律知識は不要」であるということや、また公正な判断をするためには「最初に抱いた印象に引っ張られないよう、『逆の結論を導く事実はないか』と反対側の視点から考えてみることが大切」だといったことを述べています。
さらに、「裁判員の対象年齢が引き下げられることの意義」をめぐって、「絶対に『10代ならでは』って感覚があると思う。色々な世代が意見を交わすことで議論は深まるから、『これは正義にかないますか?』みたいな素朴な疑問でもドンドンぶつけてほしい」とコメントしています。

 

【問3】

将来、あなたが裁判員に選出されたら、どのようなことを心がけながら審理に臨むべきだろうか。注意点や心構えなどを考えてみよう。

 

【解答例】
まずは、自分の感情を制御すること。審理の場で過度な同情や反発の念を抱いてしまわないよう、冷静さを常に保っておかねばならない。また、自分が最終的な判断を下す直前まで、積極的に質問などをしてそのための材料を集めておくことも大切だ。
人の人生を左右する判断を下すのだという自覚を持って、十分に考え抜いた上で自分なりの結論を出さねばならない。加えて、司法では過去の判例も大きな意味を持つようになるので、自分の判断が、将来の判例としての役割を果たすのだということも、強く意識しておく必要がある。
えん罪は絶対に防がねばならない。

 

【解説】
日本弁護士連合会のホームページは、裁判員制度に関して、以下のような「心にとめておきたい4つのこと」を挙げています。
「法廷に現れた証拠だけをもとに判断」。
「常識にしたがって『間違いない』と確信できないときは無罪とする勇気を」。
「自白の判断は慎重に」。
「刑罰は報復だけではなく社会でのやり直しのチャンスも考慮して」。
以上は刑事裁判の原則であり、無実の人を有罪とする「えん罪」を防ぐための知恵でもあります。
刑事裁判には「無罪の推定」という原則があります。すべての被告人はまず無罪と推定されることになっており、検察官が被告人の犯罪を証明しなければ、有罪とすることができません。
「疑わしきは被告人の利益に」という考えが重要で、「被告人は疑わしい」という程度の証拠しかない場合には、決して有罪にすることはできないのです。

 

B面「テスト形式」の解答ポイント

【問題1】の問1~問3について

「着衣着火」は身近にひそむ危険の一つです。東京消防庁の管内では2020年に死者4人、負傷者46人が報告されています。ただし負傷者の数ははっきりせず、実際にはこれよりも多いことが推定されます。
火を扱うときには、慣れていても充分に注意してください。「Stop, drop and roll」は、着火した際に大量の水をかけることや、衣服を脱ぐということが難しいときに役立つ消火の手法です。走ると風で火が大きくなることなども、知識として頭に入れておきましょう。

 

【問題2】の問1について

核拡散防止条約(NPT)は、1970年に発効され、現在の締約国数は191か国・地域です(地図中のインド、パキスタン、イスラエルは非締約国、北朝鮮は1993年と2003年に同条約脱退を宣言)。
その目的と内容は、①核不拡散:米、露、中、英、仏の5か国を「核兵器国」と定め、「核兵器国」以外への核兵器の拡散を防止(「核兵器国」から「非核兵器国」に核兵器の完成品や材料・情報を渡さない、「非核兵器国」が自ら核兵器を製造しない等を意味)、②核軍縮:締約国が誠実に核軍縮交渉を行う義務を規定、③原子力の平和的利用:原子力の平和的利用は締約国の「奪い得ない権利」と規定、となっています。

【問題2】の問2について

レーガンは、アメリカ合衆国第40代大統領として、1981年から2期8年務めました。内政面では、大幅減税や財政支出削減など経済活動に関する規制の撤廃と緩和による自由競争の促進等を軸とするレーガノミクスを推進しました。また、外交面では、ソ連との間で核兵器の削減を初めて合意した中距離核戦力全廃条約(INF全廃条約)を調印しました。
ゴルバチョフは、旧ソ連最後の最高指導者で、1985年に共産党書記長に就任し、後に初代大統領も務めました。内政面では、ペレストロイカ(改革)とグラスノスチ(情報公開)を断行し、停滞していたソ連の政治経済の抜本的改革を目指しました。また、外交面では、「新思考外交」に基づき、東欧諸国の民主化の容認や前述したINF全廃条約の調印を果たし、冷戦を終結させました。
ちなみに、①のブッシュ(父)はレーガンの次のアメリカ合衆国大統領、②のエリツィンはロシア連邦の初代大統領です。なお、ブッシュ(父)とゴルバチョフとの間でマルタ会談が行われ、冷戦の終結が宣言されました。

【問題2】の問3について

核兵器禁止条約は、核兵器を違法とし、その開発・実験・保有・使用などを全面的に禁止する条約で、2017年に国連で採択され、2021年に発効しました。しかし、アメリカやロシアなどの核兵器国や、核兵器国の「核の傘」の下にある日本など多くの非核兵器国は参加しておらず、その実効性が課題となっています。
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)は、スイスのジュネーブに本部を置く国際NGO(非政府組織)で、平和や軍縮・人権などの問題に取り組む約100か国の600以上の団体で構成されています。2017年に、日本の被爆者らと連携して核兵器禁止条約を国連で採択させるのに貢献したとして、ノーベル平和賞を受賞しました。

 

 

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2022年1月7日号

A面「ワークシート」の解答ポイント

【問1】

【資料1】などを見ながら、あなたのクラスには「ケアをしている家族がいる」クラスメートは約何人いることになるか、おおよその人数を求めてみよう。
また、あなたの学年全体では、家族を「自分一人でケアしている」生徒は約何人いることになるか、値を計算してみよう。

 

【解答例】
解答者によって値が異なるため省略。

 

【解説】
「ケアをしている家族がいる」クラスメートのおおよその人数は、あなたが中学生であればクラスメートの総数に「0.057」をかけることで、あなたが高校生であればクラスメートの総数に「0.041」をかけることで求められます。
また、学年全体で家族を「自分一人でケアしている」生徒のおおよその人数は、あなたが中学生であれば、学年全体の生徒数にまず「0.057」をかけ、さらに「0.091」をかけることで求められます。あなたが高校生であれば、学年全体の生徒数にまず「0.041」をかけ、さらに「0.114」をかけることで求められます。
現代においては、おおよそ一クラスにつき1~2人の生徒が、何らかの形での「ヤングケアラー」であるということになります。

 

【問2】

ヤングケアラーの生活は忙しく、遊びはもちろんのこと、勉強するための時間も満足に確保できないことが多い。
もし、あなたの友人や身近な人がヤングケアラーであるかもしれない、と感じた場合、あなたはその人にどう接するべきだろうか。相手の立場に考慮しながら具体的に考えてみよう。

 

【解答例】
どこの家庭にも、それぞれの事情があるだろう。自分の家族の状況を、あまり話したくないというヤングケアラーもいるかもしれない。私は友人がヤングケアラーであるかもと感じた場合、その友人にあまり深いことを尋ねずに、学校で楽しい会話や遊びなどの時間をなるべく共有できるようにしてあげたい。
また、効率の良い勉強法を調べるなどして、その友人に教えてあげたい。一方で、自分の親や先生など、その友人の状況を大人に話してみることで解決することもあるかもしれないので、色々な手段を探ってみたい。

 

【解説】
中高生などの若者がヤングケアラーの問題を考えるに当たっては、「同じ感受性を持った同世代の者としてどう接することができるか」という視点と、「抜本的な問題解決に向けた具体策をどのように見いだしていくべきか」という視点の両方を考えることが求められるでしょう。
引用されている中高生新聞の記事と同じ特集ページ内には、精神科医の斎藤環氏からのアドバイスとして、「特に自宅に招待すること」が有効なのでお願いしたいと書かれています。自宅に招待することで、その人が自分の置かれた状況を客観視し、「福祉のプロ」に助けを求めるきっかけになるかもしれないからです。
また同世代同士の秘密として打ち明けられた場合でも、思い切って「ちゃんと大人に相談するべきだ」と斎藤氏は述べています。「何がその人に必要な支援なのかを適切に判断することは、経験を積んだ大人でなければ不可能」だからです。
一方で、気を張って「助けよう」と思うのではなく、「友だちが一息つける時間を作る」くらいの気軽さで良いとしています。

 

【問3】

ヤングケアラーの問題は各家庭に解決を委ねる問題ではなく、社会全体で改善を考える問題である。
状況の改善に向けて、地域社会や学校、行政は、どのような取り組みをするべきだろうか。あなた自身も当事者になったつもりで考えてみよう。

 

【解答例】
ヤングケアラーの問題で何よりも深刻なのは、その若者が、自分自身の将来のための勉強や活動などをできなくなってしまう点だと私は思う。こうした若者が増えることは明らかに、社会全体の不利益に繋がる。
ヤングケアラーのいる家庭に生活費の一部を支給するなどといった支援も必要で有効だろうが、私はそれらとは別に、例えば高校や大学の入試の際に、ヤングケアラー経験のある受験生を得点調整などで大幅に優遇する、といった措置があっても良いのではないかと思う。
本来、家事や介護などは相当な忍耐力や集中力がないとできないはずで、そのような経験を持つ若者であれば、潜在的な学力は高いと見なせるはずだと考えるからだ。

 

【解説】
ヤングケアラーの問題に限らず、現在、若者が悩みを気軽に打ち明けられる電話での相談窓口として、例えば「児童相談所相談専用ダイヤル(0120-189-783)」、文部科学省による「24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)」、法務省による「子どもの人権110番(0120-007-110)」などが設けられています。また電話だけでなく、LINEやTwitter、チャットなどによる相談窓口も様々に設置されています。
ただ、悩みをどうしても打ち明けられなかったり、自分の状況はそこまで深刻ではないと信じ込んだりしてしまう若者も存在するでしょう。これからの社会においてヤングケアラーの問題は、もっと幅広く認知されていくべき問題になっていると言えます。

 

B面「テスト形式」の解答ポイント

【問題1】の問1について

秋篠宮家あきしののみやけの長女眞子内親王まこないしんのう(現在は小室眞子さん)の結婚・皇籍こうせき離脱によって、皇室は天皇、上皇、および15名の皇族(上皇后、皇后、愛子内親王、および4宮家の12名)で構成されるようになりました。未成年だった2名のうち愛子内親王の成年行事は、女性皇族の「ロングドレス・デビュー」を現世代で目撃するラストチャンスだったのです。
詳しい報道によると、12月5日午前の宮中三殿への参拝(宗教的行事)でのドレス「ご参拝服」は長袖で淡い色味のもの。次に宮殿で陛下から宝冠大綬章を授けられた際は「ローブ・モンタント」という長袖で襟元がつまったタイプのロングドレス(昼の礼装)で色は白。
そして午後には、ローブ・モンタントとともに新調されたイブニングドレス「ローブ・デコルテ」に宝冠大綬章と冠型の髪飾り「ティアラ」(叔母の黒田清子さやこさんから借用)を加えた女性皇族の最高の正装で一連の行事に臨まれ、宮殿の玄関で撮影されたマスクなしの写真はテーラードジャケットも着用された姿でした。
なお、興味を持った人は「女性皇族の衣装の変移について―明治の洋装化がもたらしたもの―」という題の2019年発表の論文をインターネット上で検索して閲覧してみるとよいでしょう。伊藤博文が初代首相と宮内くない大臣を兼務して女性皇族の洋装化を推進した理由など先人の葛藤や、和服も活用するようになった現代までの移り変わりがよく理解できます。ちなみに、同論文の著者名は「彬子女王あきこじょおう」です。

【問題1】の問2・問3について

成年年齢を18歳に引き下げることを内容とする「民法の一部を改正する法律」が2018年の国会で成立し、2022年4月1日に施行されます。
これによって同時に、皇室の基本法である皇室典範てんぱん(1947年制定)に明記されていない、皇族(皇太子・皇太孫を除く)の成年年齢(民法の規定を準用じゅんようも20歳から18歳になり、秋篠宮家の長男悠仁ひさひと親王の成年行事は2026年ではなく2024年に行われることになります。男性皇族の「モーニングコート(または燕尾服えんびふくデビュー」を現世代で目撃するラストチャンスになるのでしょうか。
なお、大日本帝国憲法とともに制定された旧皇室典範(1889年制定)には、一般の皇族の成年について「満二十年ヲモッテ成年トス」と規定され、天皇・皇太子・皇太孫については「満十八年ヲ以テ成年トス」と規定されました。それは、政務にあたるべき天皇が未成年の場合や、成年の天皇が長く政務不能となった場合に置かれる摂政せっしょうの最高の有資格者である次期天皇について、成年年齢を早めるためだったと言われています。
天皇・皇太子・皇太孫の成年を18歳とする現行規定は、わざわざ規定する意味が無くなる2022年4月以降も存続するようです。

 

【問題2】の問1について

南アフリカ共和国は、アフリカ大陸最南部に位置する共和制国家です。かつて後述するアパルトヘイト政策に対する国内での反対運動、国際的な経済制裁などにより、世界的に孤立していました。
しかしアパルトヘイト政策撤廃以降は、サブサハラ・アフリカの全GDPの約20%を占めるほどの経済成長を果たし、サブサハラ・アフリカ諸国における第2位の経済大国として、アフリカ経済を牽引するようになりました。
またアフリカ諸国で唯一のG20メンバー国ともなり、新興経済国の一員として、近年では、国連改革、核軍縮・不拡散、気候変動等のグローバル・イシューに関する発言力を強めています。

【問題2】の問2について

アパルトヘイトとは、南アフリカが1948年から1990年代初めまで実施していた、法によって定められた人種隔離・差別制度の総称を指します。
引用記事の2段落目に述べられているような差別の他にも、就職、賃金、教育、医療、宗教など、日常生活のありとあらゆる場面で非白人を差別する政策が、法と慣行で制度化されていました。

【問題2】の問3について

ネルソン・マンデラ氏は、若くから反アパルトヘイト運動に身を投じていましたが、1964年に国家反逆罪で終身刑の判決を受け、27年間に及ぶ獄中生活を送ることになりました。
その後、1990年に釈放され、翌年には反アパルトヘイトや黒人の人権擁護の中心的団体であるアフリカ民族会議(ANC)の議長に就任し、当時大統領だったデクラーク氏とともにアパルトヘイト撤廃に尽力し、実現しました。記事の4段落目にあるとおり、ノーベル平和賞を受賞して大統領に就任した後は、民族和解・協調政策を進め、経済政策として復興開発計画(RDP)を実施するなどしました。
AとBの選択肢について、それぞれキング牧師、マルコムXと聞くとピンときた人がいるかもしれません。2人は、1950年代から1960年代にかけてのアメリカの黒人(アフリカ系アメリカ人)が、公民権の適用と人種差別の解消を求めて行った公民権運動に大きな成果をもたらしました。
公民権運動や思想の異なる2人についての関連記事は、読売中高生新聞2021年11月26日号の4面に載っています。簡潔にまとめられているので、読み直してみるといいでしょう。

 

 

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