時事王 代々木ゼミナール×読売中高生新聞

2024.2.29

読売中高生新聞「時事王」掲載問題の解答ポイントなどを公開。テストに役立つ時事を学ぼう!

読売中高生新聞「時事王」掲載問題の解答ポイントなどを公開。テストに役立つ時事を学ぼう!

2024年3月1日号

A面「ワークシート」の解答ポイント

【問1】


下線部①「地震直後の混乱のなかでは、中高生も地域の助け合いの輪に進んで加わることが期待される」とあるが、具体的にどのような行動が期待されているのか。本文中にある例をいくつか挙げてみよう。


【解答例】

・避難所の運営を手伝うこと。

・「災害弱者」と呼ばれる人たちを支えること。

・物資の運搬を手伝うこと。

・炊き出しを手伝うこと。

・小さな子どもと遊びながら、見守ること。

【解説】

下線部①にあるとおり、災害時には中高生も地域の一員として地域のほかの人々と助け合うことが期待されます。つまり自分の命や生活を守るだけでなく、地域の人たちみんなの生活を支えたり、困っている人を助けたりするということです。解答には、避難所の運営に関わるなど避難所全体に貢献することや、忙しい保護者から小さな子どもを預かるなど周りの人を手助けするようなことが当てはまります。設問には「いくつか」とあるので、複数の例を本文から抜き出して書きましょう。

 

【問2】

下線部②「『災害弱者』と呼ばれる人たちには、特別な配慮も求められる」とあるが、どのような人にどのような配慮が必要か。避難所の運営者になったつもりで書いてみよう。


【解答例】

・簡易テントの設営が困難な高齢者に、代わりに設営してくれる人を紹介する仕組みを作る。

・日本語に不慣れな外国人のために、避難所の看板などに英語を併記する。

・妊娠している人の名簿を作り、体調が変化した時にすぐに診療が受けられるように医師への連絡手段を確保しておく。

・障害などがあって歩行が困難な人が、炊き出しなどの列に並ばずに配給を受けられる仕組みを作る。

【解説】

まずは「災害弱者」とはどのような人か確認すると、下線部②にあるとおり災害時に特別な配慮が求められる人のことです。具体的には、下線部②の直前に「高齢者」「小さな子ども」「外国人」などが挙げられています。また次の段落には、避難所運営の訓練で「外国人」や「妊婦」の避難者の役があり、この人たちも災害時に特別な配慮を要する人々だと考えられます。もちろん、障害のある人など、本文では触れられていない「災害弱者」と思われる人もいるので、その人たちに着目しても構いません。
次に、このような「災害弱者」と呼ばれる人々が、それぞれどのような困難を抱えているのか、考えてみましょう。例えば「高齢者」なら重い物を扱う作業に不安がある、「外国人」なら日本語の看板が読みにくい、などです。ただし高齢者でも作業が得意な人や、外国人でも日本語が堪能な人などもいるので、「重い物を扱う作業に不安のある高齢者」などのように補足するのもよいでしょう。
最後に、そうした困難を抱える人たちへの配慮の仕方を考えましょう。ポイントは設問の「避難所の運営者になったつもりで」という点です。例えば、あなたの目の前に、重い物を扱う作業に不安のある高齢者がいるとき、その人の代わりに簡易テントを設営してあげることも、大切な配慮です。しかし、同じように作業に不安のある高齢者は避難所にたくさんいると思われます。もしあなたが避難所の運営者という立場であれば、テントを設営できる人をあなた以外にも複数確保して、手伝いが必要な人に斡旋する仕組みを作ることで、より多くの人を助けることもできるのです。このように、避難所の仕組み自体を改善して「災害弱者」と呼ばれる人たちに配慮するような内容を書けるとよいでしょう。

 

【問3】

災害時の避難所で、あなたはどのような行動ができるだろうか。地域の一員として、周りの人を支える視点から具体的に書いてみよう。また、そのような行動をとるためにどのような備えをしておきたいか、書いてみよう。


【解答例1】

けが人を運ぶなど、避難所の運営を手伝いたい。けが人の手当ての仕方を練習したり、避難所を運営する訓練をしてその仕組みを学んだりしておきたい。。

【解答例2】
英語が得意なので、日本語に不慣れな外国人に通訳をしたい。また、必要があれば避難所の運営者に看板などへの英語の併記を提案したい。備えとして、災害時に必要な英語表現を勉強しておきたい。

【解答例3】
小さな子どもと遊ぶことで、保護者から一時的に預かり、保護者が手続きなど様々な用事を進めやすいようにしたい。普段から近所の子どもや保護者と挨拶を交わし信頼を得られるようにしておきたい。

【解説】

自分が避難所でどのような役割を果たせるかを考える問題です。
一つには、問2で見たような、避難所の運営側として活動することが挙げられます。けが人の救護や物資の運搬、炊き出しなど仕事の手伝いが主な例となります。なお、問2では避難所の運営の中核を担うつもりで考えましたが、実際の災害時には大人が中心になります。中高生が運営のあり方に関わる場合は、大人に意見を伝える形になると思われるので、このこともおさえておきましょう。
このような活動をスムーズに行うには、けがの手当てや料理などの実技に加えて、避難所運営の訓練などを通して、避難所の仕組みを理解しておくことなども有益となるでしょう。
また、避難所の運営側としてというよりは、避難者同士としての活動を挙げても構いません。問2の設問には「避難所の運営者になったつもりで」と指定があったため、運営者としての活動について述べる必要がありましたが、問3にはその指定がないためです。例えば目の前の外国人に通訳をしたり、小さな子どものいる保護者から一時的に子どもを預かり見守ったりする活動が考えられます。こちらは避難所の仕事を手伝うことほど多くの人々を助けるわけではないかもしれませんが、多様な事情を抱えた人々が集まってくる避難所では、それぞれの事情に合わせた細やかな助け合いも不可欠です。
臨機応変に活動することになるため、備えの仕方も多岐にわたります。また、こうした活動から避難所の改善点が見えてくれば、避難所運営側へ提案することもありうるでしょう。
ただし、個人の力には限界があることは意識しておきましょう。例えば自分の家の災害用食料を周りの人に配ることなどは、個人が食料を大量に用意することはできないため、一時的な助けとなってしまいます。大がかりな活動は組織的な力をもつ避難所側に任せ、それでは行き届かない細やかな部分をケアすることが、個人同士で助け合う場合に大切な視点だといえます。

 

B面の解答ポイント

【問題1】の問1について

阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震は1995年1月に発生した「内陸型」の地震で、最大震度7を記録しました。なお、「震災」は地震によって発生した津波や液状化現象、建物の倒壊、ライフラインの寸断といった災害全般を指す言葉であり、「阪神・淡路大震災」は「兵庫県南部地震」によって起きた被害全般を指す言葉です。
多くの人口を抱える阪神地域の直下の断層のずれによる地震であったため、阪神・淡路大震災は6,000人を超える死者、40,000人を超える負傷者を出し、住宅も全壊・半壊を合わせて200,000棟以上の被害が出るなど、甚大な被害をもたらしました。

 

【問題1】の問2について

②-aは太平洋、②-bはユーラシアです。日本は4つのプレートが接する境界に位置し、その4つの内訳は、海側のプレート(海洋プレート)は太平洋プレートとフィリピン海プレートの2つ、陸側のプレート(大陸プレート)は北米プレート(北アメリカプレート)とユーラシアプレートの2つです。日本は複数のプレートの境界付近に位置するため、地震が多く発生します。

 

【問題1】の問3について

③-aは海側、③-bは陸側、③-cは陸側です。海洋プレートと大陸プレートが衝突したときには、重い海洋プレートが軽い大陸プレートの下に沈んでいきます。このとき、海洋プレートは大陸プレートを引っ張るため、年月が経つにつれてひずみが溜まっていきます。ひずみが限界に達すると、大陸プレートが反発して地震を引き起こします。
なお、海洋プレートが大陸プレートの下に沈んでいくことによってできる深い溝のことを海溝といい、上のメカニズムで発生する地震のことを「海溝型地震」といいます。

 

【問題1】の問4について

④-aは「小さいが」、④-bは「浅い」です。内陸型の地震は活断層の動きによるもの、海溝型の地震はプレートの動きによるものであり、一般的に内陸型の地震の方が海溝型の地震より地震の規模(マグニチュードで表される)は小さくなります。しかし、震源に関しては内陸型の地震の方が一般的に浅く、震源が浅いと震源から地上までの距離が近くなるため、震源地付近では揺れ(震度で表される)は大きくなります。
以上のメカニズムを考えると、海溝型地震では被害地域の範囲が広くなること、内陸型地震では被害地域の範囲は狭いものの、震源地付近では極めて大きな揺れが生じ、被災地は被害が大きくなることが分かります。

 

【問題2】の問1について

正解は大西洋です。
NATOは北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty Organization)で、アメリカ合衆国とイギリス、フランスなど西ヨーロッパ諸国が、旧ソ連など東ヨーロッパ諸国に対する集団防衛機構として1949年に結成されました。本部はベルギーのブリュッセルです。

 

【問題2】の問2について

正解は東西冷戦(冷戦,冷たい戦争)です。
第2次世界大戦で連合国だったアメリカ合衆国とソビエト連邦(ソ連)は大戦後対立を深め、直接戦火を交えることはなかったことから東西冷戦(冷戦,冷たい戦争)と呼ばれ、西ヨーロッパ諸国の自由主義陣営、ソビエト連邦を中心とする東ヨーロッパ諸国の社会主義陣営に分かれ対立が続きました。1980年代後半から対立が和らぎ、1989年、アメリカ合衆国のブッシュ大統領とソ連のゴルバチョフ書記長によるマルタ会談で冷戦の終結が宣言されました。それと前後して東ヨーロッパ諸国で社会主義政権が崩壊、1991年にソビエト連邦が解体されると、東ヨーロッパ諸国の北大西洋条約機構への加盟が始まりました。

 

【問題2】の問3について

正解は③がスウェーデン、④がフィンランドです。
 スウェーデン、フィンランドはともに北ヨーロッパのスカンディナビア半島に位置する国です。ロシアと国境を接するフィンランドは、第1次世界大戦以前はロシアに支配され、1917年にロシアから独立した歴史があるため、2022年2月、ロシアが隣国ウクライナへの侵攻を始めると、第2次世界大戦後の東西冷戦下から中立だった政策を変更し、NATOへの加盟を申請し、2023年4月、31番目の加盟国となりました。またフィンランドの隣のスウェーデンは第2次世界大戦中から中立でしたが、政策を転換しNATOへの加盟を申請,2024年2月,NATO32番目の加盟国となることが確定しました。

 

【問題2】の問4について

正解はCのトルコです。
トルコは地理的にアジアに位置しますが、ヨーロッパに隣接し1952年、ギリシャとともにNATOに加盟しました。AのイラクとBのイランは西アジアの国でNATOには加盟していません。Dのルーマニアは黒海に面した東ヨーロッパの国で、2004年、NATOに加盟しました。

 

 

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2024年2月2日号

A面「ワークシート」の解答ポイント

【問1】


資料1を読み、①「アップサイクル」とはどのような考え方のことか、②「アップサイクル」製品に求められていることは何か、それぞれ挙げてみよう。


【解答例】

① 「アップサイクル」とは、役割を終えて使われなくなり、本来であれば捨てられてしまうものを、“新たな価値”を持つ別の製品に生まれ変わらせること。

② 「アップサイクル」製品に求められていることは、高い品質やデザイン性である。

【解説】

 ① 「アップサイクル」という言葉は、1990年代半ば頃のドイツで初めて使われたとされており、日本では2000年代以降、「アップサイクル」に取り組む企業が見られるようになりました。「アップサイクル」が注目されている背景には、SDGs(持続可能な開発目標)の採択や、国による循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行の呼び掛けなどがあります。なお、「アップサイクル」という言葉には、よりよいものを生み出すという意味も込められており、SDGsの目標の中では12番の「つくる責任 つかう責任」などに当てはまります。

② 「アップサイクル」製品に高い品質やデザイン性が求められる理由としては、より多くの人に、「これなら購入してもよい」と思われるような付加価値を感じてもらうためです。ほかにも、消費者に感動を与え、共感を呼ぶストーリー性も重要であると言えます。

 

【問2】

資料2を読み、9割の人が新品と同額以上で購入する意思を示した理由は何か、考えてみよう。


【解答例】

環境問題に対する消費者の意識が高まり、「自分も(環境問題の)対策に貢献できている」と感じることができるため。また、製品の品質は落ちていないと判断されたため。

【解説】

環境問題に対する意識の高まりが、「アップサイクル」製品の需要を拡大させていると言うことができるでしょう。そのデータをアンケート調査結果に見ることができます。こうした意識の高まりに加え、高い品質やデザイン性を兼ね備えた製品の画像を見ると、さらに「買いたい」という気持ちを強めることになるでしょう。結果として、新品と同額以上でも購入したいというアンケート調査結果につながっていると考えることができます。

 

【問3】

日本国内でも「アップサイクル」事業に取り組む企業があるが、まだ実験的であり、成功例も少ない。今後の日本国内で「アップサイクル」が浸透し広がっていくために、どのような「アップサイクル」製品を作れば良いだろうか。当事者として、アイデアを出してみよう。


【解答例】

・骨が折れて使えなくなったビニール傘のビニール部分を、防水性の高いバッグや防水カバーに「アップサイクル」する。

・廃材と牛乳瓶を組み合わせて、花瓶やペン立てに「アップサイクル」する。

・捨ててしまいがちな野菜や果物の茎や芯を、チップなどのお菓子に「アップサイクル」する。

など

【解説】

役割を終えて使われなくなり、本来であれば捨てられてしまうはずだったものを、“新たな価値”を持つ別の製品に生まれ変わらせる、それが「アップサイクル」です。【解答例】に挙げたものは、皆さんの日常でよく目にするであろうものを「アップサイクル」製品に生まれ変わらせる例として挙げました。
ほかにも、読売中高生新聞2023年12月8日号に、札幌市内の高校に通うサッカー部の生徒たちの取り組みが掲載されています。これは、古着をボールバッグに「アップサイクル」し、地域の子どもたちにプレゼントする、というものです。この高校生たちは地元の企業にボールバッグ製作の協力を依頼し、クラウドファンディングを実施、さらにサッカーJ1の北海道コンサドーレ札幌にも協力を呼び掛けました。すると、選手たちがバッグ一つひとつにサインを書いてくれたそうです。
このように、中学生・高校生であっても、「アップサイクル」製品のアイデアを考えて、それを形にすることは決して不可能ではないのです。環境問題への対策を考える上でも、ぜひ「アップサイクル」製品のアイデアを考えてみてはどうでしょうか。

 

B面の解答ポイント

【問題1】の問1について

1950年代後半からの高度経済成長を背景に人々の所得は増加し、それに伴って高額な耐久消費財が次々と普及していきました。中でも白黒テレビ・電気洗濯機・電気冷蔵庫は、日本の皇位継承の象徴とされる3つの宝物にちなんで「三種の神器」と総称されました。その後、1960年代後半には、自動車(Car)・カラーテレビ(Color television)・クーラー(Cooler)が新たな耐久消費財普及の中心となり、それぞれの英語の頭文字をとって「3C」と総称されました。

 

【問題1】の問2について

年功序列とは、勤続年数や年齢が増すに従って役職や賃金が上がる人事制度及び慣習のことです。高度経済成長期にはこの年功序列制度や、正規従業員を原則定年まで雇用する終身雇用制度、そして労使(労働者と使用者)の協調を特徴とする日本独自の経営方式が定着しました。しかし、近年では転職率の増加などによって、その経営方式に変化も生じてきていると言われています。

 

【問題1】の問3について

NISAは「少額投資非課税制度」の通称(Nippon Individual Savings Accountの略)で、イギリスのISA(個人貯蓄口座)を参考に、家計の安定的な資産形成の支援や成長資金の供給を目的として2014年1月に導入されました。株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらから得た利益に対して通常は一定の税金がかかります。しかし、NISA専用の口座で投資した金融商品から得られる利益は、年間の投資上限額はあるものの非課税となることから、年々利用者数が増加しています。
政府は家計の安定的な資産形成をさらに推進するため、NISA制度の抜本的な拡充や恒久化をはかり、2024年1月には旧NISA制度よりも大幅に拡充された新しいNISA制度(新NISA)が開始されました。

 

【問題1】の問4について

日本の名目GDP(国内総生産)はアメリカに次ぐ世界2位を長らく維持してきましたが、2010年に中国に追い抜かれて3位になりました。そして、2023年10月に国際通貨基金(IMF)が発表した見通しによると、2023年にはドイツが3位となり、日本は4位に下がると考えられています。なお、5位はインド、6位はイギリスとなっています。
ドイツに追い抜かれる見込みとなったのは、円安の影響やドイツの高い物価上昇が主な要因とされていますが、日本経済の長期的な低迷の表れとの指摘もあります。

 

【問題2】の問1について

JAXA(ジャクサ)は宇宙航空研究開発機構の英語名称であるJapan Aerospace Exploration Agencyの略称です。2003年に宇宙科学研究所(ISAS)・航空宇宙技術研究所(NAL)・宇宙開発事業団(NASDA)の3機関が統合して発足しました。「宇宙と空を活かし、安全で豊かな社会を実現する」との経営理念を掲げ、日本の宇宙開発利用を技術で支える中核的実施機関と位置付けられています。

 

【問題2】の問2について

リュウグウ(Ryugu)は1999年に発見された小惑星で、2015年に名称を公募してその名が選定されました。選定理由としては、浦島太郎が竜宮城から玉手箱を持ち帰ることと探査機「はやぶさ2」が小惑星のサンプルが入ったカプセルを持ち帰ることが重なったため、などとされています。2022年には「はやぶさ2」がリュウグウから持ち帰った砂や石から23種類のアミノ酸が見つかり、そのうち生物のたんぱく質をつくるアミノ酸が10種類近くも含まれていることがわかりました。
ちなみに、探査機「はやぶさ」(初代)は2005年に小惑星イトカワの探査を行い、2010年に地球に帰還しました。様々なトラブルに見舞われながらも帰還を果たしたことは人々の感動を呼び、「はやぶさ」を題材とした映画などの作品も作られました。

 

【問題2】の問3について

種子島は鹿児島県に属する島です。1543年(1542年説もあり)に中国船がこの種子島に漂着し、乗船していたポルトガル人が鉄砲(火縄銃)を伝えると、その後戦国大名の間に急速に普及して戦術のあり方や城の構造に変化をもたらしました。
現在、種子島には総面積約970万㎡にも及ぶ日本最大のロケット発射場である種子島宇宙センターがあります。2014年には「はやぶさ2」、そして2023年には月面探査機「SLIM」が、この種子島宇宙センターから打ち上げられました。

 

【問題2】の問4について

アメリカの民間会社「スペースX」の創業者で、SNS大手「ツイッター」を買収した実業家はイーロン・マスク氏です。「スペースX」は、2002年に創業されたアメリカの宇宙開発会社です。2020年にこの「スペースX」の開発した有人宇宙船の打ち上げが成功したことは、当時世界で大きな話題となりました。またイーロン・マスク氏については、2022年10月に「ツイッター」を買収したことでも有名です。「ツイッター」はその後、2023年にサービス名が「X」に変更されました。
ちなみに、ジェフ・ベゾス氏はアマゾン・ドット・コムの創業者、ビル・ゲイツ氏はマイクロソフトの創業者、マーク・ザッカーバーグ氏はメタ(旧・フェイスブック)の創業者です。

 

 

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2024年1月5日号

A面「ワークシート」の解答ポイント

【問1】


日本の家庭において「和食離れ」が進んでいる原因としてどのようなことが挙げられるか。資料から読み取り、説明してみよう。


【解答例】

・日本でも欧米流の食生活が普及したから。

・和食は手間がかかるから。

・年中行事などで伝統的な和食を家族や親戚と食べる機会が減っているから。

【解説】

「日本人の和食離れ」については【資料1】で触れられているので、それをもとに考えてみるといいでしょう。
例えば、現在、日本の食生活は欧米流が主になり、米や魚よりも肉やパンを好むようになったということが挙げられるでしょう。外にも、忙しい毎日のなかで、手間のかかる和食を用意することが敬遠されていることや、おせち料理や地域の伝統料理など、和食と深く結びついている年中行事もなかなか行われなくなり、家族や親戚が集まって食卓を囲む機会が減っていることも原因の一つとして挙げられます。

 

【問2】

日本のだしを世界に広めようと考えたときに問題となりうることにはどのようなことがあるか。資料から読み取り、説明してみよう。


【解答例】

・出汁の取り方に関する考え方が違うため、ただそのまま紹介するだけでは、味を再現できないということ。

・世界の多くの地域で利用されている「硬水」では、ミネラル等の成分が邪魔をしてうまく出汁がとれないため、「軟水」を用いなければならないこと。

【解説】

海外の多くの国々と日本で出汁の取り方に違いがあるということは【資料2】で触れられています。フランス料理の「ブイヨン」や中華料理の「湯」は長時間煮込むのに対し、日本の出汁は昆布やかつお節、煮干しなどを短時間煮て作られます。
また、それらの違いの主な理由として、調理に使う水の違いが説明されています。ミネラル分を多く含む「硬水」が主流の諸外国に対し、ミネラル分の少ない「軟水」を主に利用している日本では、昆布などのうま味成分が抽出しやすく、出汁の文化が根付いたのだと考えられます。
つまり、日本の出汁を世界に広めようとする場合、このような調理の方法や水の違いについて理解したうえで説明をしていかなくてはならないということになるでしょう。単に日本の方式を伝えるだけでは、出汁の良さを十分に伝えることはできないと考えられます。

 

【問3】

あなたが世界に向けて紹介したいと思う日本の文化を一つ挙げ、紹介する際に注意すべきことを考えてみよう。


【解答例】

・私が世界に向けて発信したいと考える日本の文化は、寺社仏閣などの伝統的な建物だ。これらは長い歴史を持ち海外からの人気も高いが、禁止されているところで動画を撮影するなど外国人観光客のマナーの悪さが問題になっている。そのため、複数の言語に対応した注意書きを用意するなどの対応が必要になるだろう。

・私が世界に向けて発信したいと考える日本の文化は、アニメやゲーム、漫画といったサブカルチャーである。すでに日本の漫画が海外で流行した事例もあるが、国によってはピースサインが侮辱の意味を表すなど、日常の習慣や物の捉え方の違いから、日本では当たり前に受け入れられているものが海外では問題になることもある。そのため紹介するものを厳選したり、解説をつけたりする必要もあるのではないかと考える。

・私が世界に向けて発信したいと考える日本の文化は茶道である。おもてなしの精神や、わびさびといった日本独自の考え方を海外に広めるいい機会になると考えるが、細かい作法は日本人でも知らない人が多く、海外の人にも理解しやすいように説明の方法を模索する必要があると思われる。また、正座をする習慣がなく、長時間続けることが難しい人のためにルールを緩和できないか検討していくことも有効だと考える。

【解説】

紹介してみたい日本の文化と、それを紹介する際の注意点について述べる問題です。みなさんは「日本の文化」と聞いてどのようなものを思い浮かべたでしょうか。今回は解答例で挙げた三つを軸に考えてみましょう。
まずは、和食と同様に伝統的な日本文化が考えられるでしょう。解答例で挙げた寺社仏閣などの建物はその代表的なものだといえます。実際、海外からの観光客は行きたい場所として京都を挙げることが多いといわれています。しかし、これらの建物は築1000年以上のものも多く、扱いには十分な配慮が必要です。このような伝統的な日本文化としては、他に着物などが考えられます。
そして、日本の文化といえるものは、何も古いものばかりではありません。アニメやゲーム、漫画といったサブカルチャーも世界に向けて発信しうる日本の文化といえるでしょう。しかし、作者は基本的に日本で暮らしている人なので、日本の生活習慣や考え方に基づいてこれらを作成していることになります。そのため、海外の人が読んだときに意図がうまく伝わりにくい場合もあるでしょう。このような問題を避けるためには、海外向けに翻訳する際の表現について吟味したり、ときには解説を添えたりして、理解しやすいように配慮する必要があると考えられます。
もう少し細かいくくりで考えてみるのもいいでしょう。今回はその例として「茶道」を挙げました。茶道もまた、古くから続く伝統的なものであり、客人をもてなす心やわびさびといった独自の考え方をもつものです。しかし、実際に海外に広めることを考えると、作法の難しさ等が問題になってくるでしょう。異なる言語を母語とする人たちにどのように伝えればよいのか模索していく必要があります。また文化の違いでいえば、基本的に椅子に座る生活をしている人が長時間正座をすることは難しいのではないかということ等が挙げられます。
以上のように、海外に向けて日本の文化を紹介するときには、環境や言語、考え方が異なることを理解したうえで対策を考える必要があるでしょう。また、【問3】では最初に自分で考えた「紹介したい日本の文化」を挙げる必要があったので、ここで悩んでしまった、答えが考えられなかったという人もいるかと思います。小論文では、ときに日ごろから様々な情報に対してアンテナを張り巡らせることができているかということが問われる場合があります。その際は、新聞を読んだり、気になったことは調べたりといった日々の積み重ねが皆さんの力になります。日ごろから意識してみるとよいでしょう。

 

B面の解答ポイント

【問題1】の問1について

邪馬台国は、 30ほどの小国を統一した連合国家で、身分秩序や租税、刑罰の制度も整っており、その国の女王として巫女である卑弥呼が治めていたとされています。「魏志倭人伝」の記録には、長い間国内で戦乱が続いていたので、諸国が共同して卑弥呼を王として立てたところ、ようやく収まったとあります。そして、卑弥呼は239年に中国(魏)の皇帝に使いを送り、「親魏倭王」の称号と金印などを授かり、その権威を背景に支配力を強めました。3世紀半ばの卑弥呼の死後、男の王が跡目を継いだものの倭国が治まることはなく、壱与という卑弥呼の一族の女子を王とすることによって再び国が治まったと「魏志倭人伝」には記載されています。なお、邪馬台国の場所についてはいまだ不明で、九州北部にあったとする九州説と近畿地方の大和(奈良県)にあったとする畿内説とで古くから議論されています。

 

【問題1】の問2について

日本では701年の大宝律令の完成によって天皇を頂点とする中央集権国家が整い、「日本」という国号もこの頃に正式に用いられるようになりますが、その際に日本が模範としたのが中国王朝の唐です。618年に隋を滅ぼし中国を統一した唐は、律令(律は刑罰に関する法、令は役所の組織・職務や税制など政治に関する法)を定めて人民の名前や性別などを戸籍に登録し、それに基づいて人民に田を与え、税や兵役の負担を課すという中央集権国家を形成しました。また、都の長安は人口約100万人の世界的な都市で、国際的な文化が発展し、日本もその政治制度や文化を取り入れようと遣唐使が8世紀にはおよそ20年に1度の割合で派遣され、日本に多大な影響を与えました。

 

【問題1】の問3について

消費税は1989年に大型間接税として導入され、その当時は一律3%でした。その後、1997年に5%、2014年に8%、そして2019年に10%(一部8%)と徐々にその税率は高くなってきています。消費税が導入されたのは、本格的に到来する少子高齢化社会において、働いている世代だけでなく全ての人々で社会を支えることができる税の体系を構築し、社会保障などの公的なサービスの費用をまかなうための安定的な歳入を確保することなどを目的としたことにありました。ただし、消費税の是非については現在も議論されています。例えば、消費税は個人の所得に関わりなく同じ割合で税金を負担しなければならず、所得の少ない人ほど税負担の割合が高くなるという特徴があるため(このことを逆進性といいます)、不公平であるといった意見などもあります。

 

【問題1】の問4について

軽減税率は、2019年の消費税10%の引き上げと同時に導入されました。高所得者よりも低所得者層が重い税負担を強いられるという逆進性の対策として、飲食料品や新聞に対して税率を8%のまま据え置くという制度となっています。軽減税率制度は低所得者への対策とされていますが、対象品目の基準が明確であるのかというのはいまだに議論の対象となっています。例えば、甘酒、アルコール分1%未満のみりん風調味料やノンアルコールビールは飲食料品として軽減税率の対象となっているのに対し、通常のみりんや調理酒などは飲食料品とはみなされていないため、その対象ではありません。また、週2回以上発行される、定期購読されている新聞はその対象となっているのに対し、コンビニなどで販売されている新聞はその対象ではなく、そもそもなぜ新聞だけが対象なのかという疑問も出されています。軽減税率の境界線はかなり曖昧で、この制度が続く限り今後も議論の対象となっていくでしょう。

 

【問題2】の問1について

『罪と罰』は、自身の思想に基づいて老婆を殺害した青年ラスコーリニコフが、犯した罪に苦悩する姿を描いた小説です。この小説を書いたドストエフスキーは、19世紀のロシアを代表する作家として知られ、その他の代表作に『カラマーゾフの兄弟』があります。
1866年に出版された『罪と罰』は、これまでに何度も映画化や舞台化、漫画化などがなされており、手塚治虫も1953年に『罪と罰』を漫画化しています。なお、手塚治虫はそれ以外にも、ゲーテの戯曲『ファウスト』や、シェイクスピアの戯曲『ヴェニスの商人』なども漫画化しています。

 

【問題2】の問2について

AIは、「人工知能」を意味する英単語「Artificial Intelligence」の頭文字を取った略語で、人工知能を意味する言葉として広く使われています。
人工知能(AI)とは、事前にインプットされたデータや、センサーなどを通して得られたデータをもとに、コンピュータが自ら推論し、問題解決や意思決定を行うことをいいます。これは、私たちが今までに覚えてきたことや、日頃見聞きしたことを基に、特定の問題に対して自分の頭で考え、答えを導き出すことと似ています。
今回の『ブラック・ジャック』最新話制作プロジェクトでも、人間が提示したいくつかの単語や質問を基に、AIがストーリーのプロットやキャラクターデザインを提案するという形で、AIが大きな役割を果たしました。

 

【問題2】の問3について

設問にある通り、「拡張子」とは、保存されているファイルがどういう種類のデータなのかを示すために付けられる文字列のことです。たとえば「example.txt」と書かれているファイルの場合、末尾の「.txt」が拡張子です。
一つの種類のデータでも、拡張子はいくつかの種類があり、それぞれ圧縮率の良さや、元のデータに復元できる度合いといった点に違いがあります。

ア  「.txt」はテキストデータによく使われる拡張子です。

イ  「.mpeg」は動画データに使われる拡張子で、一般に画像データには使われません。画像データとして使われる拡張子には「.jpeg(.jpg)」「.bmp」「.png」などがあります。

ウ  「.mp3」は音声データによく使われる拡張子です。音声データとして使われる拡張子にはほかにも「.aac」「.flac」などがあります。

エ  「.avi」は動画データによく使われる拡張子です。動画データとしては、ほかにも「.mp4」や、選択肢イでも登場した「.mpeg」などがよく使われています。

 

【問題2】の問4について

AIに画像を学習させることにより、その画像の作風などを踏まえた新しいイラストを生み出すことができます。今回の『ブラック・ジャック』最新話制作プロジェクトでもその技術は利用され、故人の作風を蘇らせて新たな作品を生み出しました。
これと同様にして、人物の画像や声、動きなどをAIに学習させ、これを既存の動画と合成させることによって新たな映像を生み出す技術も開発されてきました。このようにして生成された画像や映像は「ディープフェイク(deep fake)」と呼ばれ、本来は映画などのエンタメの場を想定して開発・利用がされてきました。
しかし中には、生成された画像・映像があまりにも精巧であるため、実在の人物や出来事であると誤解してしまうようなものを生成し、悪用する事例も出てくるようになりました。ディープフェイクによって引き起こされた問題として、実際には発言していない内容を政治家がさも発言しているかのような動画が出回った、検索サイトでヒットした生き物の画像のほとんどがAIによって作られた偽の画像であったなどの事例があります。
AIに限らずあらゆる技術について言えることですが、技術がもたらす影響には良い点と同時に悪い点もあります。そして悪い点というのは、必ずしも意図的な悪用によってのみ生じるものではなく、技術を万全万能なものと過信し、漫然と使ってしまうことによっても生じることがあります。新しい科学技術に対して、私たちは、その技術のメリット・デメリット双方を理解し、その技術を利活用することが求められることになります。

 

 

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