時事王 代々木ゼミナール×読売中高生新聞
2026.2.5
読売中高生新聞「時事王」掲載問題の解答ポイントなどを公開。テストに役立つ時事を学ぼう!
2026年2月6日号
A面「ワークシート」の解答ポイント
【問1】
国が自治体に対して、住民へのおこめ券の配布を推奨している主な理由は何か、資料1から挙げてみよう。
【解答例】
価格が高い(コシヒカリなどの)ブランド米を買いやすくするとともに、コメ離れを防ぐため。
【解説】
国がおこめ券の配布を自治体に推奨している主な理由は、資料1の最後の一文にまとめられています。つまり、「物価(特に米価)の高騰へのピンポイントな支援」と「国産米の消費への下支え」という2点に集約できます。
コメの価格が高いままだと、パンや麺類などへと消費が流れ、コメ離れが加速するリスクが高まります。原則としてコメの消費にしか使えないおこめ券を国民(住民)に配布することで、コメの消費に誘導しつつ国内の農業・コメ市場を守る、という意図があります。
なお、解答例としては上記の他に、「今すぐできる物価高対策だ」から、としてもよいかもしれません。
【問2】
おこめ券を配布することに自治体が二の足を踏む(躊躇する)理由として考えられることを、資料2から挙げてみよう。
【解答例】
○おこめ券自体に手数料が上乗せされている(還元額が少なくなる)ため
○おこめ券を発行する団体から購入しなければならない(手間がかかる)ため
○住民への配布にも経費と手間がかかるため
【解説】
自治体がおこめ券の配布にやや否定的な態度を示す要因の一つは、資料2にもあるように「手数料が高い」ことだと言えます。住民が実際に使える(住民に還元される)額が少なくなるだけでなく、配布の際にかかる経費と手間も自治体に二の足を踏ませていると言えるでしょう。おこめ券を発行する団体は利益を取らないことを公表しているものの、自治体が発行団体からおこめ券を購入しなければならない状況は変わりません。
実際に、「国民(住民)に配る前に1割以上のコストがかかっている」「現金給付の方が経費も少なく、素早く対応できる」など、反対している自治体の長もいます。他に、「コメだけでなくパンや麺類、油も高い」「パン食を中心とする世帯を考慮していない」などの意見があるように、ニーズの不一致を解消する必要もあります。
なお、これらの他に、「おこめ券を配ることでコメが今の高値で売れれば、売る側は値段を下げる必要がなくなるので、高値が続く可能性もある」とする、農業と経済の関係に詳しい大学教授による指摘もあります。また、特定団体への利益供与になることを警戒するという視点もあります。
【問3】
物価高対策には、おこめ券の配布だけでなく、現金給付という方法もある。では、現金給付以外にどのような給付(もしくは還元)の方法があるだろうか、考えてみよう。
【解説】※解答例は、解説中の【例】を参照してください。
まずは現金給付について解説します。現金給付は、おこめ券の購入にかかる手数料などを削減し、給付(還元)額を最大化できる方法と言えます。現金給付を選択すれば、所得制限のない一律給付、特定の世帯(子育て世帯、低所得世帯など)に対象を絞った給付ができます。いわゆるコロナ禍の中で進んだデジタル化の利点を活かして、住民それぞれの口座に直接振り込むことができます。
現金給付以外の方法としては、以下のものが挙げられます。
●金券やデジタルポイントなどとしての配布・付与
おこめ券は原則として用途がコメに限定されますが、金券やデジタルポイントなどとして配布・付与すれば、コメ以外の消費にも使うことができます(一部の店舗では、コメ以外の商品に対してもおこめ券を使うことができる場合もあります)。
【例】
○コンビニエンスストアなどで使えるプリペイドカードの配布
○マイナポイントもしくは自治体独自のデジタルポイントの付与
○地元の商店街で利用できる商品券の配布 など
●公共料金・教育費などの負担軽減
家計の固定費を直接下げることで、間接的に食費を増やす方法と言えます。
【例】
○水道の基本料金や使用料を数か月分減額または無料にする
○学校の給食費を補助または無償化する など
※2026年度から公立小中学校を中心に給食の無償化が進む予定です。
(東京都など一部の自治体では、すでに完全無償化されています。)
物価高対策としての国(政府)の方針と、自治体や住民(国民)の考えとの間にある何らかのズレは否めませんが、すべての人々が納得する形をとることもまた難しいことです。各自治体は、現金給付も含めたそれぞれの方法にあるメリットとデメリットを十分に考慮し、どのような形での住民への支給が最適かを判断することになります。問2の解説で述べたように、ニーズの不一致ができるだけ解消される方法が採られることを願うばかりです。
B面の解答ポイント
【問題1】の問1について
正解は「(ジョー・)バイデン」です。
現アメリカ大統領のドナルド・トランプは2016年に共和党から初めて大統領選挙に出馬し、当選して1期4年務めました。しかし、再選を目指した2020年大統領選挙では民主党のバイデンに敗れます。その4年後、トランプはバイデンの任期満了にともなう2024年大統領選挙に出馬し、バイデンの後継者として立候補した民主党のカマラ・ハリスを破って大統領への返り咲きを果たしました。ベネズエラへの軍事攻撃などトランプ大統領が進める外交政策は、国際協調を重視した前バイデン政権とは対照的です。
【問題1】の問2について
正解は「ウ(スペイン)」です。
「大航海時代」といわれる15~17世紀頃、ヨーロッパ人はアジアやアメリカ大陸など世界各地に進出しました。中でも中南米地域にはスペイン人が盛んに進出し、先住民を滅ぼすなどして広大な植民地を築きました。これらの地域で独立運動がおこり、ベネズエラを含む国々が次々に独立を果たしたのは19世紀前半のことです。エのポルトガルも南米に広い植民地を持ちましたが、この地域が独立したのが現在のブラジルです。アのイギリスは現在のガイアナなど、イのオランダは現在のスリナムなど、いずれも中南米地域に小規模な植民地を持っていました。
【問題1】の問3について
正解は「OPEC」です。
OPECは石油輸出国機構(Organization of the Petroleum Exporting Countries)の略称で、産油国に対して強い影響力を持っていた欧米系の石油メジャー(国際石油資本)に対抗するため、1960年に結成されました。原加盟国はベネズエラの他にイラク・イラン・クウェート・サウジアラビアで、いずれも西アジア地域の産油国です。その後OPECは力を強め、1973年の第4次中東戦争に際しては原油価格を大幅に引き上げて欧米諸国や日本に第1次石油危機をもたらすなど、価格や生産量の決定権を持つようになりました。現在は12カ国がOPECに加盟しています。
【問題1】の問4について
正解は「安全保障理事会」です。
安全保障理事会は国連(国際連合)において最重要といえる機関で、国際紛争の解決を目的に、侵略行為に対する経済的・軍事的制裁などを決定する権限を持ちます。固定された5カ国の常任理事国(アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国)と、任期があり選挙で選ばれる10カ国の非常任理事国で構成されています。重要事項の決議については常任理事国のうち1国でも反対すれば成立しないこととされており、常任理事国のみに認められたこの特権は拒否権とよばれます。
【問題2】の問1について
正解は「南鳥島」です。
南鳥島は東京都の小笠原諸島に属する島で、日本の最東端とされています。
1896年に日本人が踏査し、日本人労働者を移住させたことをきっかけに1898年には日本領土として南鳥島と命名されました。第二次世界大戦後はアメリカ軍の管理下に置かれていましたが、1968年に小笠原諸島の日本復帰により再び日本の領土となりました。
島の形状は正三角形に近く、皇居と同じくらいの大きさで、島内には滑走路や波止場、防衛省や国土交通省の駐在施設があり、港湾の施設の整備や気象観測などが行われています。南鳥島の排他的経済水域は、日本の領土面積(約38万㎢)より大きい約43万㎢にも及びます。また、周辺海域ではレアアース泥などの貴重な海洋鉱物資源が発見され、資源開発に向けた様々な調査・研究が進められており、小さな島でありながら様々な役目を果たしています。
【問題2】の問2について
正解は「エ」です。
排他的経済水域(EEZ)は、領土と領海の境界(基線)から200海里(約370㎞)までの範囲を指します(ウは誤り)。ここでは、沿岸国に漁業、天然資源などの権利が優先的に認められています。他国の船舶は、航行することは可能です(アは誤り)が、漁業など沿岸国の主権的利益を侵害する活動は禁止されています。
また、問1でも見たように日本の領土面積は約38万㎢ですが、日本は離島が多いため、領海と排他的経済水域を合わせた面積は約12倍の約447㎢に及びます(イは誤り)。
一国の主権が及ぶ領域は、領土・領海・領空からなります。領海は基線から12海里までで、ここまでは沿岸国の主権が及びます。排他的経済水域の外は公海とされ、すべての国に航行、上空飛行、漁獲、海洋調査の自由(公海の自由)が認められています。
【問題2】の問3について
正解は「イ」です。
レアアースは、金属や合成樹脂などに少量を加えるだけで製品の性能を飛躍的に向上させることから、産業の「ビタミン」と呼ばれています。
アの産業の「塩」は、あらゆるものづくりの基本となることから、ねじなどを表すとされます。イの産業の「米」は、産業の中核を担うものとして、戦後から高度経済成長期には鉄鋼、現代では半導体を表す言葉として用いられています。エの産業の「心臓」は、半導体の重要性を強調する表現として使われるほか、近年は2050年の脱炭素・カーボンニュートラル実現へ向けて注目されている電気自動車に不可欠な蓄電池を表すこともあります。
【問題2】の問4について
正解は「ウ」です。
レアアースはスマートフォンやドローン、蛍光灯、電気自動車などの製造に欠かせない重要な資源で、現代社会や先端技術を支えています。しかし、レアアースの採掘や精錬には、放射性物質を含む廃棄物が発生するなど、環境負担や処理コストが多くかかります。そのため、それらへの規制が厳しい先進国では生産が進まず、生産・精錬が特定の国に集中する状況が生まれています。
現在、世界のレアアース生産の多くを中国が占めており、供給を左右できる立場にあることから、中国が輸出制限を行うことで、他国の産業や経済に大きな影響を与えることが可能となり、レアアースは外交や国際関係と結びつきやすい資源になっています。
2026年1月9日号
A面「ワークシート」の解答ポイント
【問1】
AIを活用していく利点はどのようなことだろうか。資料から読み取り、まとめよう。
【解答例】
・情報を見落とすリスクを減らしたり、自分では思いつけない提案をしたりしてくれること。
・人間の作業を効率化できること。
【解説】
AIを活用している例については、主に資料1で述べられています。医療現場で活用されているAIは、「実際の診断は医師が行うが、見過ごす恐れがあるポイントを再確認できる可能性が高まる」「電子カルテを作るサポートも医師の業務改善につながる」という意見が紹介されているので、人間の作業の効率化やサポートに役立っているということがわかるでしょう。また、資料2では「生成AIを使えば、さまざまな作業が効率化でき、自分には思い浮かばない知恵を授けてくれることもあります」とあるので、こちらもAIを活用する利点と言えそうです。
【問2】
AIを活用していくなかで気を付けなければいけないことはどのようなことか。資料から読み取り、まとめよう。
【解答例】
・必ずしも正しいことを述べているとは限らず、誤った答えを出したとしても、その過程がわからないこと。
・AIを運用するために膨大な機械や電力が必要になること。
・AIを活用する人間の判断や責任を考え直す必要があること。
【解説】
AIを活用することのリスクは、主に資料2で述べられています。生成AIに質問をすれば短時間でなんらかの答えを導き出してくれますが、それが本当に正しい情報であるのかをAI自身が判断することはできません。現時点では答えを導く過程も不明瞭です。つまり、AIの正しさについては人間が判断する必要があり、その責任やリスクについて考える必要があるということになるでしょう。
また、図では経費の面での問題にも触れられているので、ここをまとめるのもよいでしょう。
【問3】
私たちは今後AIとどう付き合っていくべきか。資料から読み取った内容や問1問2で考えたことをもとに、考えてみよう。
【解答例】
AIは私たちの生活を便利にするだけではなく、新しい知見をもたらしてくれるものである。しかし一方で、情報の不明瞭さゆえに人間の判断が不可欠であったり、人の心に寄り添う役割は人間の方が得意であったりという面もあるだろう。私たちはAIに頼り切るのではなく、AIと人間の得意分野を見極め、何を任せるのかを考えながらAIを活用していくべきだと考える。
【解説】
AIのメリットとデメリットについては、問1と問2でまとめました。では、私たちはそれらを踏まえてどのようにAIを活用していけばいいのかということを考えましょう。
AIを活用するのをやめる、もしくは極力使わないようにするという意見を考えた人もいるかもしれませんが、AIが実際に役に立っている現状を考えるとあまり現実的ではありません。
資料1と資料2のどちらにおいても、AIに任せきるのではなく、人間の思考や判断が必要になることが示されていますから、その点を中心にまとめるとよいでしょう。
解答例では、AIに頼り切るのではなく任せられる部分と人間が担うべき部分を見極める必要があるという内容を中心にまとめました。
B面の解答ポイント
【問題1】の問1について
答えはブラジリアです。
ブラジルの人口第1位の都市はサンパウロ(約1240万人)、第2位の都市はリオデジャネイロ(約678万人)で、ブラジリアは第3位(約309万人)です。ブラジリアは、大西洋沿岸部に人口が集中しているブラジルで、国土の均衡ある発展のため、人口が少なく未開発の内陸部にリオデジャネイロから移転して首都になった都市です。
【問題1】の問2について
答えは中国です。
2022年の各国・地域の温室効果ガス排出量の割合は、中国が30%で最も多く、アメリカ合衆国の13%が次いで2番目に多かったです。中国は人口が多いことや、「世界の工場」と呼ばれるほど工業が発達するなど、産業に多くの電力を使っていることから温室効果ガスの排出量が多くなっています。
【問題1】の問3について
答えはパリです。
1997
年に、温室効果ガス全般について、先進国による総排出量の削減目標を法的に定めた京都議定書が採択されました。この議定書は、先進国のみを対象としていましたが、その後経済発展著しい新興国による温室効果ガス排出量が急増したため、2015年にすべての国が温室効果ガスの削減目標を設定し、その目標達成のための措置を実施する義務を負うパリ協定が採択されました。
【問題1】の問4について
答えは産業革命です。
産業革命以降、地球の気温上昇が顕著にみられるようになってきました。2024年は、産業革命以降の平均気温の上昇幅が1.55℃を記録しました。地球温暖化の進行抑制のために、世界が協力して温室効果ガスの排出量削減に取り組むことが求められています。
【問題2】の問1について
正解は「ウ」です。
第二次世界大戦後の中国では、国民党との内戦に勝利した共産党が指導する中華人民共和国が建国され、国民党は台湾に逃れて中華民国政府を存続させました。中華民国政府と日本との間には、1952年に講和条約が結ばれて以降外交関係が続いていましたが、1972年に中華人民共和国を「中国で唯一の合法政府」と認める日中共同声明が発表されると、中華民国政府と日本との正式な外交関係は断絶されました。ただし、貿易など民間レベルではその後も密接な関係が続いています。アについて。日本は1894年に勃発した日清戦争に勝利し、翌年に結ばれた下関条約によって清(当時の中国の王朝)から台湾を獲得すると、第二次世界大戦終結までの約50年の間領土としました。イについて。台湾では国民党の一党独裁が長らく続きましたが、1980年代に入ると民主化が進み、初の野党である民主進歩党(民進党)が結成されました。そして、1996年に初めて台湾住民の直接選挙による総統選挙が行われて以降、選挙によって政権交代も起こるようになりました。現在は民進党の頼清徳(ライチンドォー)氏が総統を務めています。
【問題2】の問2について
正解は「集団的自衛権」です。
集団的自衛権は国際連合憲章で認められている、密接な関係の国が武力攻撃を受けた際に共同で反撃できる権利です。日本では日本国憲法第9条で許される自衛権の範囲を超えているとしてその行使を禁じていましたが、2014年に安倍晋三内閣は憲法解釈を変更して限定的な行使の容認を閣議決定しました。そして、2016年に安全保障関連法が施行され、集団的自衛権の限定的な行使が可能となりました。
【問題2】の問3について
正解は「イ」です。
東京電力は福島県の福島第一原発・福島第二原発と新潟県の柏崎刈羽原発の、3カ所の原子力発電所を運用していましたが、2011年の東日本大震災によって起きた福島第一原発事故後、福島第一原発は2012・14年に、福島第二原発は2019年に廃止されました。柏崎刈羽原発も全7基が運転を停止していましたが、2017年に6・7号機が原子力規制委員会の新規制基準に合格しました。そして、2025年11月に新潟県知事が再稼動の容認を表明し、12月に県議会も知事への信任を示す議案を可決したことから、6号機が早ければ2026年1月にも運転を再開する見通しとなりました(2025年12月現在)。東京電力の原発の運転再開は、福島第一原発事故以来初めてとなります。アの茨城県には日本原子力発電の東海第二発電所があります。ウの福井県は関西電力の高浜発電所など、日本で最も原発が集中している県として知られています。エの佐賀県には九州電力の玄海原発があります。
【問題2】の問4について
正解は「ビザ」です。
ビザは査証とも呼ばれる、相手国が入国を許可したことの証明書で、通常は自国にある相手国の大使館などで事前に取得します。ただし、ビジネスや観光など短期滞在の目的で海外へ渡航する際、パスポートがあれば入国できる、つまりビザが免除される国も数多くあります。