2025年度入試の志願者数は前年比2,532名増の40,132名で2年連続の増加となり、2019年度入試以来、久々の4万人超えとなりました。志願者数は、ここ4年の横ばい状態から増加に転じています。また、実志願者数も前年比1,340名増の27,604名となりました。実志願者数の増加幅が1千人を超えるのは現行の入試制度になって以来、初めてのことになります。この増加は18歳人口の一時的な増加や難関大学志向の強さが要因と考えられます。近年、上位私大は志願者数を減らした一方で、合格者数を増やしたために実質倍率が大きく下がっています。それにより入試の難易度が下がったことで、受験生の出願傾向が強気に変化してきたことから難関大学志向が強まっています。しかしながら、慶應義塾大は学部・学科の増設や入学定員の増員、入試方式を増やすなどの志願者数増加のための入試改革をまったく行っていません。さらには、各学部単位での一般選抜の受験機会は1回しかありません。また入試科目の構成も学部ごとで大きく異なるため、学内併願による志願者数の増加が期待しにくく、受験人口が減少すれば実志願者数の減少の影響を特に受けやすい傾向があります。そのため、今春の増加が継続するのか、それとも一時的なものにとどまるのかは様子を見る必要があります。
【図表①】参照
学部別では10学部中で8学部が増加、2学部が減少となっています。特に、文系学部は全学部が増加となっています。経済・商学部ではここ数年、あまり振るわなかった私大専願型の受験生が多いB方式の増加が目立っています。また、SFC(総合政策・環境情報学部)は久々の増加となり、総合政策学部は2017年度入試以来、環境情報学部は2019年度入試以来の増加となっています。理系学部では、試験日を前倒して国公立大との併願がしやすくなったことから志願者増が予想された医学部が逆に4年ぶりの減少となりました。また、薬学部は数学の出題範囲を文系範囲から理系範囲に変更したため、他の私大薬学部志望者には併願がしにくくなり、2年連続の減少となりました。薬学部の学科別では、私大薬学部で募集の多い6年制の薬学科が大幅に志願者数を減らしました。一方で、4年制の薬科学科は学内併願者が増えたことで、4年連続の志願者増加となりました。
【図表②】参照