北海道大学


1.一般選抜の概要と志願状況

【図表①】志願者数の推移
志願者数の推移
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【図表②】募集単位別志願状況(前期)
募集単位別志願状況(前期)
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【図表③】募集単位別志願状況(後期)
募集単位別志願状況(後期) [クリックして拡大]
【図表④】志願倍率の推移
志願倍率の推移 [クリックして拡大]
   北海道大の一般選抜では前期日程・後期日程を実施しています。
   前期日程では、総合入試文系・理系(数学重点・物理重点・化学重点・生物重点・総合科学)、文学部、教育学部、法学部、経済学部、医学部医学科・保健学科、歯学部、獣医学部、水産学部の11区分で募集が行われます。総合入試は、学部を指定せずに受験することが可能で、入学後は総合教育部に所属します。1年間で教養科目や基礎科目を学び、本人の志望と成績に基づいて学部学科に移行することができる制度であり、その特徴から全国の受験生に注目されています。また、文学部と総合入試文系では2次試験での実施科目にも特徴があり、2次試験で数学を受けず、国語・英語・地歴での受験が可能となっています。全国の旧7帝大中、前期日程の2次試験で数学が必須でないのは、名古屋大の情報学部人間・社会情報学科と大阪大の文学部と外国語学部、そして北海道大の総合入試文系と文学部のみとなっています。国立大学上位校では文系学部でも2次試験で数学を課すことが多いため、数学が苦手な受験生が全国から北海道大に集まっていると考えられます。
   2025年度の一般選抜の志願者数は前期・後期の合計で9,406人となり、2024年度と比べて76人(0.8%)減少しました。日程ごとに見ていくと、前期日程は5,248人(前年比+52人)となり、変動率は+1.0%と小さく、志願倍率も2.65倍(+0.02ポイント)でほぼ横ばいでした。また、後期日程は4,158人(-128人)となり、変動率は昨年比-3.0%と前期を上回るものとなりました。志願倍率は9.24倍(-0.22ポイント)となり、2024年度からやや低下したものの、2022年度から4年連続で9.0倍を超えています。倍率の高さの要因として、2022年度にフロンティア入試が導入された際に後期日程の募集人員が42名減少した影響が考えられます。募集人員の減少後も人気は継続しており、志願者数に大きな変動は見られないため、今後も後期日程の志願倍率は高い状態が続くことが予想されます。【図表】参照
   学部ごとの志願者数・倍率を見ていくと、前期では特に文学部で志願者数の増加があり、2024年度から76人増加の371人(+25.8%)となっています。文学部は2024年度に直近10年で志願者数・志願倍率が最低となったため、その揺り戻しが起きたと考えられます。また総合入試理系では、数学重点選抜群で志願者が2024年度に対し159人増加し509人(+45.4%)となり、志願倍率も3.83倍と総合入試理系の中で最も高くなりました。物理重点選抜群は2022~2024年度まで3年連続で志願者数が増加していたためその反動が見られ、志願者数は89人減少の618人(-12.6%)となりました。志願倍率も2.59倍まで低下しましたが、総合入試理系の中では数学重点に次いで2番目に高い数値を維持しています。これは、全国的な情報系学部人気の影響があると考えられます。情報系学部では数学、物理を必須とする大学が多く、これらに対応するための学習を続けてきた受験生が北海道大に出願する場合、2次試験で数学の配点が高い数学重点選抜群か物理の配点が高い物理重点選抜群での出願を検討すると考えられます。【図表】参照
   後期日程では、文学部や薬学部などで志願者数・志願倍率が過去10年で最高となりました。ただし、後期日程は前期日程合格者が欠席することで志願倍率と実質倍率に大きな差が生じるため、注意が必要です。受験生は出願にあたって、より受験の実態に近い実質倍率に影響を受けやすいと考えられます。そのため、後期日程の出願動向については、実質倍率にも注目する必要があります。
   文学部では、志願者数は2021年度以降毎年増加しており、2025年度は380人(+6.7%)と過去10年で最高でした。旧帝大や上位大学では後期日程の実施大学が全国的に少なく選択肢が限られている状況であり、志願者が特定の大学に集まりやすい傾向があります。また北海道大の後期日程は、共通テストの配点が大きいため、共通テストでの得点が見込める生徒にとっては出願しやすく、後期日程での志願者数増加につながっていると考えられます。しかし、実質倍率は2.7倍(-0.2ポイント)と2024年から低下しています。これは後期試験の欠席率が高いことが原因で、2025年度の受験者は137人(±0人)で2024年度と同数でした。また、2025年度は募集定員37名に対して合格者数は50人となっており、合格者数の割増が多いことも実質倍率が高くなりにくい要因だと考えられます。2021年度以降は実質倍率が2.5~2.9倍で推移しており、他の文系学部に比べて変動幅が小さく、安定した状況が続いています。そのため、志願倍率が上昇していても、実質倍率をもとに強気に出願する受験生が多いのではないかと考えられます。
   薬学部でも2025年度の志願者数が過去10年で最高の382人(+150人)となり、志願倍率は15.92倍で後期日程の中でも最も高くなりました。これは、2024年度に志願者数が大幅に減少し、実質倍率も2.9倍まで低下したため、その揺り戻しが起きたと考えられます。
【図表】参照
   最後に、北海道大の2段階選抜の実施状況について見ていきます。前期・後期日程の全募集単位のうち、後期日程の工学部を除いて、志願倍率が各学部で設定されている基準を超えた場合に2段階選抜が実施されると要項に記載がありますが、2025年度に基準を超えていた後期日程の文学部、法学部、経済学部、理学部、薬学部、農学部、獣医学部、水産学部では、2段階選抜は実施されませんでした。最も志願倍率が高かったのは薬学部で、基準値が6.0倍のところ志願倍率が15.2倍と大きく超えています。例年、基準を超えていても2段階選抜を実施しないことが通例となっていますが、注意が必要です。

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