北海道大学
3.文系の入試概要
総合入試文系の全国的な人気は以前からデータに表れており、この傾向の主な理由は2次試験で数学を受けなくても教育学部・法学部・経済学部に進学可能であるからと考えられます。全国の旧7帝大中、前期日程の2次試験で数学が必須でないのは、名古屋大学の情報学部人間・社会情報学科と大阪大学の文学部と外国語学部、そして北海道大学の総合入試文系と文学部しかありません。国立大学上位校では文系学部でも2次試験で数学を課すことが多いため、数学が苦手な受験生が全国から北海道大学に集まっていると考えられます。2024年度の合格者に占める道内割合を見ると、総合入試文系は14.2%で総合入試が導入された2013年度以降で最も低い割合となりました。道内出身の合格者が減っている文系の中でも、特に総合入試文系は全国の受験生との戦いが今後も続きそうです。また合格者に占める女子割合を見ると、文系で最も高いのは文学部で45.9%、逆に最も低いのは経済学部で26.0%となりました。【図表⑦】参照
次に5区分の共通テストの合格者平均得点率を見てみます。最も高かったのは文学部で79.5%でした。これは例年通りの傾向で、総合入試文系と同じく前期日程の2次試験で数学が必須でないことや道内の国公立大学で文学部が設置されている唯一の大学であることが理由として考えられます。文系は理系に比べ、各募集単位間の共通テスト素点の合格者平均点に大きな差はありませんが、2次試験のボーダーライン(最低点)には開きがあります。実際、2024年度は共通テストの合格者平均得点率が76.9%~79.5%とその差は2.6%でしたが、共通テストで合格者平均点だった場合の2次試験の合格者最低得点率(代ゼミ推計)は61.1%~74.0%となり、約13%の開きがみられました。区分ごとに見ると、例年は総合入試文系と文学部が高めですが、2024年度は地歴の選択者が含まれる総合入試文系と文学部が低くなっています。この2つは65%以下の得点率でしたが、文系数学が必須の教育学部・法学部・経済学部は70%以上の得点率です。2024年度は5区分すべて2次試験の合格者最低得点率が上がりましたが、これは英語と文系数学の大幅な易化の影響と考えられます(以降、2024年度の入試難易度については代々木ゼミナール教材研究センターの分析による)。【図表⑧】参照