東北大学
1.志願者数・志願倍率
2024年度は共通テストの平均点が上昇し、国立大前期日程全体では2023年度から志願者が0.6%増加、東北大以外の旧帝大でも志願者が増加した大学が目立ちました。なかでも東北大の4.3%の増加は京都大学の5.2%に次ぐ増加率です。後期日程の志願者も2023年度比で272人増加し、+27.0%の1,279人となりました。2023年度の後期日程における志願者がこの10年間でみると最少だったことや、新課程入試を次年度に控え受験機会を確保したかった高学力層が多かったことが要因だと考えられます。【図表①】参照
学部・系統ごとの志願者数・志願倍率の動きをみてみると、2024年度の文系合計の志願者数は1名の減少、理系合計は185名(6.0%)の増加で、理系志願者が大学全体の志願者数を増加させる結果となりました。これには医学部医学科での第1段階選抜予告倍率の緩和、工学部での募集人員増の影響がみられます。一方、マクロな視点で2015年度と比較すると、文系は112名(8.8%)の減少、理系は373名(10.2%)の減少で、理系の減少幅の方が大きくなっています。【図表②】参照
文系各学部の志願倍率は概ね2.5倍から3.0倍の範囲にありますが、文学部は年によっては2.0倍程度の低倍率になることもあります。2024年度の結果をみると、経済学部(文系)を除き志願倍率が低下しました。文学部は2019年度の2.4倍から3年連続(2020~2022年度)で上昇していましたが、2023年度は2.4倍、2024年度は2.3倍となって2年連続の低下です。教育学部は文系の中では例年合格者総合点の平均点が低く、募集人員が49名と少ない(他3学部は全て100名以上)ため志願倍率の変動が大きい傾向にあります。2024年度は2.4倍で2023年度の3.3倍から大きく低下しました。文系学部で唯一志願倍率が上昇したのは経済学部(文系)で、2023年度の2.4倍→2.9倍に上昇しました。これまでも隔年現象が起きていた募集単位であることや、2021年度から2年連続(2022~2023年度)で志願倍率が低下していたことが2024年度の倍率上昇の要因と考えられます。【図表③】参照
理系学部の志願倍率は2つのグル-プに分類でき、概ね3.0倍未満が理・医学部保健学科・工・農学部の4つ、概ね3.0倍以上が経済学部(理系)・医学部医学科・歯・薬学部の4つとなります。2024年度の志願倍率をみると、歯・農学部を除いて上昇しました。なかでも志願倍率の昇降が特徴的だった医学部医学科と農学部についてとりあげます。
医学部医学科の志願倍率は2018年度の3.6倍から年々低下していましたが、2023年度の3.1倍で下げ止まり、2024年度は3.8倍となりました。第1段階選抜の予告倍率がこれまでの3.0倍から3.5倍に緩和されたことや、全国の国公立大学医学部医学科と比較して2023年度入試の3.1倍は低倍率(前期日程49校中の14番目)であったことなどが倍率上昇の要因と言えそうです。医学部医学科の入試は前年度入試の結果や合格者成績、次年度の入試変更点によって志願者の動きが起きやすく、隔年現象も多々あるという特徴があります。医学部医学科の志望校決定の際に留意しておくとよいでしょう。
次に農学部についてみていきます。2024年度の志願倍率は2.6倍であり、2014年度以降最も高かった2023年度の3.4倍から0.8ポイントも低下しました。先述の通り、農学部の志願倍率は概ね3.0倍未満のグル-プに分類されますが、2023年度は例外的に志願倍率の高い年でした。2022年度入試の合格者平均総合得点率が59.8%と東北大農学部としては低かったことや全国的な農学系統人気(2022年度指数105.3→2023年度指数102.1)が倍率上昇に影響したと考えられます。2024年度入試は例年通りに戻った結果と言えるでしょう。 【図表④】参照