一橋大学


4.SDSの入試状況

【図表⑦】SDSの入試科目と選抜状況
志願者数 [クリックして拡大]

   SDSは一橋大学において72年ぶりの新設学部となります。コロナ禍以降特に要請が高まっている、情報技術の進展やDX(デジタルトランスフォ-メ-ション)に貢献できる人材の養成を企図して設置されました。デ-タサイエンスの学部は2017年の滋賀大での設置以来、国公私立にわたって新設が盛んになっていますが、社会科学系研究大学である一橋大の強みを活かしたSDSは、「社会科学とデ-タサイエンスを融合させた教育研究」を行う点で他大学にはない特徴を有しています。
   募集人員は前期日程30人、後期日程25人であり、一般選抜・全学部の募集人員880人の1割にも達しません。また、入試科目で特徴的なのは前期日程の2次試験で課される総合問題で、一橋大では初出の科目となります。出題方針について「社会において数理的なものの考え方を応用する力、情報技術の活用について自ら試行する姿勢を確認するための科目(令和5年度一橋大学一般選抜募集要項)」と予告されていました。入試終了後に公表された実際の問題及び出題の意図をみると、「統計に関する基礎的な知識を習得できているか、与えられたルールを正確に読み取り、応用することができるか」を問う出題となっていました。2022年9月に公表されたサンプル問題では、「ある生物学者の予想について我々の生活における例をあげ、それが引き起こす社会問題について記述する」問題が出題されていましたが、2023年度の入試問題ではそのような形式の問題は出題されませんでした。「ある事象に関して論理的に思考できるかがより重視された」出題であったと考えられます。
   続いて、新設初年度の入試状況についてみていきましょう。前期の志願者数は182人、志願倍率は6.1倍となりました。募集人員の3倍以上の志願者が集まったため、第1段階選抜も実施されています。第1段階選抜の合格最低点は900点満点中の699点(77.7%)、最終合格者の最低得点は1000点満点中の640点(64.0%)でした。これらの得点率は既存の4学部(第1段階選抜は46.9%~70.9%、最終合格者は57.0%~59.2%)と比べても特に高い数字となっています。次に後期ですが、志願者数は644人、志願倍率は25.8倍となりました。第1段階選抜の合格最低点は800点満点中の654点(81.8%)、最終合格者の最低得点は1000点満点中の710点(71.0%)でした。第1段階選抜の合格最低得点率は経済学部の83.0%には及びませんでしたが、最終合格者の最低得点率は経済学部よりも10.0%も高い結果となりました。時代のニーズに合致した新設学部であったこと、募集人員が少なかったことも一因となり、前期・後期ともにハイレベルな入試状況になったといえます。【図表】参照
   著名な大学である一橋大が学部を新設することへの期待感や、デ-タサイエンスへの関心の高さなどが倍率や合格者の成績から見て取れます。デジタル人材の育成を後押しする動きは国レベルでみられますから、今後もSDSの人気は継続していくと考えられます。

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