早稲田大学


1.志願者数の推移

【図表①】志願者数の推移(2016~2025年)
志願者数の推移[クリックして拡大]
【図表②】入試別志願者数の推移
(2021~2025年)

入試別志願者数の推移[クリックして拡大]
【図表③】総志願者・実志願者・併願率の推移
(2021~2025年)

総志願者・実志願者・併願率の推移[クリックして拡大]
【図表④】学部別志願者数の推移
(2016~2025年)

学部別志願者数の推移[クリックして拡大]
【図表⑤】英語4技能テスト利用入試の志願者数の推移
(方式導入初年~2025年)

英語4技能テスト利用入試の志願者数の推移[クリックして拡大]
   早稲田大は長年に渡り、全国最大規模の志願者数を集めてきました。しかしながら、かつて早稲田大の志願者数を支えていた「浪人してでも早稲田」や「学部はどこでも早稲田」という志向が弱まり、受験生の現役入学志向が高まったことや首都圏以外出身者の流入が減ったことなどから、2019年度入試以降は長期的な減少傾向になっています。さらに、2021年度入試から政治経済学部を始めとして一部の学部で大胆な入試改革を実施したため、減少傾向に拍車がかかりました。そのため、志願者数は2021年度入試において10万人の大台を割って以来、右肩下がりで年々減少し続け、2024年度入試では9万人割れとなり、2000年以降では最少の志願者数となりました。このような現状にあっても、早稲田大は一般選抜において志願者数を増やすような施策を打つ様子はみられず、早稲田大は現在、一般的な私立大で行われているような志願者獲得競争とは一線を画し、志望順位がより高く、優秀な学生を獲得することを目標とする方向に舵を切っているといえます。
   そんな中、2025年度入試の志願者数は昨年比6,518名増(7.3%増)の95,938名となり、3年ぶりの増加となりました。これは、一時的な受験人口の増加や、近年の急速に進んだ実質倍率の低下により入試難易度が低下したこと、さらには2024年度入試で2000年以降の最少志願者数となったことからの反動が要因と考えられます。【図表】参照
   入試別の出願者数は、一般入試(共通テスト併用方式を含む個別学力試験がある入試)が前年比3,128名増(3.8%増)の84,898名、共通テスト利用入試(共通テストのみの入試)が前年比3,390名増(44.3%増)の11,040名となりました。一般入試は3年ぶりの増加となります。また、共通テスト利用入試は3年連続の増加となり、大幅な入試改革実施以降で初めての1万人の大台乗せとなりました。さらには、共通テスト利用入試の志願者数は導入する全学部で増加しています。共通テスト利用入試の増加は、共通テスト全体の平均点が上昇したことで成績上位者が強気に出願したことが要因と考えられます。早稲田大の共通テスト利用入試は、共通テスト実施後に出願ができるため、自身の自己採点の得点を見てからの出願が増え、志願者数の増加につながったと考えられます。また、地方の受験生が首都圏上位大学への出願傾向を強めたことも増加の要因と考えられます。 【図表】参照
   実志願者数は前年比1,493名増(3.6%増)の43,524名で、総志願者数の7.3%増よりは増加幅が小さくなっています。そのため、併願率(総志願者数÷実志願者数)は2.127から2.204になり、久々の上昇となりました。これは学内併願者がようやく増加に転じたということを示しています。併願が顕著に増加した学部の組み合わせは、政治経済学部・法学部・教育学部・商学部の中の併願、文化構想学部・文学部と法学部・教育学部・商学部との併願、政治経済学部と社会科学部の併願が挙げられます。この中で、社会科学系学部と人文科学系学部との併願者数が増えたことが注目されます。また、社会科学部が共通テスト併用方式となったことで、政治経済学部との併願者数が増加しています。逆に、併願が顕著に減少した学部の組み合わせは、社会科学部と教育学部・商学部・文化構想学部・文学部・人間科学部との併願、人間科学部と教育学部・商学部・文化構想・文学部との併願となります。社会科学部と人間科学部はともに共通テスト併用方式になりましたが、両学部とも志願者数が大幅に減ったことから両学部の併願者数も大幅に減っています。【図表】参照
   一般入試の学部別の志願者数は、13学部中で10学部が増加、3学部が減少となっています。一般入試が共通テストとの併用方式のみの政治経済・国際教養・社会科・人間科・スポーツ科の5学部は、新たに導入した社会科・人間科学部を除き、すべての学部で増加しています。また、独自試験のみの入試と共通テスト併用方式の両方式を実施する教育学部も共通テスト併用方式が増加に転じています。これらの学部は入試改革を推進して以来、志願者数の減少が顕著でしたが、さすがに減少傾向も一段落したと思われます。その他の学部では、文化構想・文学部の大幅増が目立っています。両学部はともに実施する3方式が揃って大幅な増加となっています。また、理系3学部の合計は4年連続の増加となっています。基幹理工学部は3学系から4学系に改組しましたが、既存の3学系中2学系が志願者数半減となったため、学部全体では小幅な減少となっています。【図表】参照
   方式別では、英語4技能テスト利用入試の志願者数が大幅に増加したことが注目されます。英語4技能テスト利用入試は導入初年度から順調に志願者数を増やしてきましたが、2023年度入試から減少に転じ、2024年度入試でも減少しました。それが2025年度入試では再度増加に転じています。商学部が導入して4年で廃止したものの、文化構想・文学部が大幅に増加しています。両学部は2025年度入試で英語4技能テスト利用入試の募集人員を大幅に増やしました。そのため、両学部の一般入試と英語4技能テスト利用入試との併願者や、法・教育・商学部との併願者が大幅に増えたことが、増加の要因となります。【図表】参照
   2025年度入試の志願者数はようやく下げ止まり、右肩下がりで減少し続けてきた反動から志願者数は大幅に増加しました。これを継続できるのかは、入試改革をさらにすすめるのかどうかにかかっています。これまでは、田中総長の出身学部である政治経済学部や設立が比較的新しい学部で共通テスト重視の入試改革が行われてきました。これからの早稲田大の志願者数の動向は、残りの法・教育・商・文・文化構想・3理工など伝統のある学部の対応が鍵を握っています。

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