大学・学部選択の考え方④ 系統別学部紹介 〜理系〜

更新 2020.10.01
2019.08.09

大学での学問は一般的には自然科学・人文科学・社会科学の三つに大別されますが、近年は学際化(研究などがいくつかの異なる学問分野にまたがること)や学問の細分化が進み、学部横断的な学科や以前にはなかったような学科も増えています。
また同じような名前の学部・学科でも、大学によって教育の方向性やカリキュラムが異なる場合もあります。
大学それぞれに個性がありますので、各大学の特徴をしっかりとつかむようにしましょう。

ここでは主に理系に分類される自然科学系の学部について紹介します。

理学系

理学部には数学・物理・化学・生物・地球科学の5系統があり、自然界の現象を理論や公式、法則などに置き換えて、自然科学の基礎として研究・検証して明らかにしていきます。
理学の研究で得られた理論などを実際に応用して、生活に役立つようにしているのが後述の工学系の役割です。
そのため、必ず勉強するのが自然科学の基礎科目(数学、物理学、化学、生物学、地学)です。理学系の場合、3年次から指導教員について「研究室」に入るケースが多く、そこでは、教授の研究を手伝いながら指導を受け、卒業研究に取り組むことがほとんどです。

大学卒業後の進路は、メーカーや一般企業のコンピュータを扱うセクションに進む人のほか、大学院進学率が高いのも特色です。

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工学系

自然科学系の原理や知識を習得し、産業や社会一般(公共福祉)に役立つ応用技術へと発展させていく学問です。
機械・電気電子・情報・宇宙・船舶・海洋等といった分野のほか、「家づくり」や「街づくり」に携わる建築・土木の分野も工学部の範囲となります。特に、建築・土木学科の志望者は増加傾向にあります。
工学部は理論の応用であるテクノロジー(技術)を追求していきますので、系統・研究に応じて数学・物理・生物・化学といった自然科学の基礎が必要となってきます。
多くの場合3年次から指導教員について研究室に入り、卒業研究に向けて勉強します。自分がどんなテクノロジーを身につけたいかが学科選びのポイントとなり、例えばそれがコンピュータであれば情報工学系の学科、建築家になりたいのであれば建築学科を選ぶのが通常です。

卒業後の進路として最も多いのが、メーカーへの就職と大学院進学です。情報系の場合は、金融・証券やマスコミといった分野への就職も増加しています。

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農・水産系

この系統の共通した目的は、自然界にある資源を利用したり、仕組みをまねて資源を生産したりするという点です。
農学・畜産水産系学部では、動植物を対象に食糧、食品生産と加工、森林資源と環境問題まで幅広く学ぶことができます。
そして、この系統のすべての学科に課されているのが、環境問題への取り組みです。自然と人間が共存していくことを前提とした資源の生産方法を学んでいきます。

学ぶことの中心は基礎科学と一般教養で、学年が上がっていくに従い、研究室に入り卒業研究に向かって専門性の高い授業を受けていきます。フィールドワーク(野外実習)が多いのも特徴です。

産業に直結した学部・学科だけに、メーカーに就職するケースが多いです。また、公務員になって、医療・保健所などの機関に就職する人もいます。

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医・歯・薬学系

人の命を守り、患者の生活の質を高めるような医療のあり方を考え、研究・実践する学部系統です。

医・歯学部は通常2年間かけて一般教養的な科目を学んだ後に4年間専門課程の勉強をし、卒業後に国家試験を受けて合格すると医師免許が取得できます。
薬学部も、薬剤師を目指す薬学科は6年制で卒業後に国家試験に合格すれば免許が取得できますが、4年制の薬科学科は国家試験の受験資格がありません。

医学部では、病理学、解剖学、衛生学などの基礎医学を学んだ後に、診断学、麻酔学、内科学、外科学といった臨床医学の勉強をします。また、実際に患者と接して知識と治療法を身につけます。
歯学部では、解剖学、歯科理工学、歯科薬理学などの基礎を習得した後に歯科矯正学、歯科補綴学、歯科保存学などの専門科目を勉強します。
薬学部は、薬学を中心に、化学、生物学、物理化学、医学に関連する各分野を勉強します。
いずれの学部・学科も人の命や体を預かる職業に就くための勉強をします。

医師、歯科医師、薬剤師として病院や薬局に勤めるケースがほとんどですが、薬学部出身者は製薬会社のほか化粧品・食品・化学などの製造業に就職するケースも多くなっています。

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看護・保健・福祉・衛生学系

看護・保健・福祉・衛生系では、医師の診断に寄与するとともに、病気やケガで心身に障害を持つ人や高齢者が快適な社会生活を送れるよう援助する技術を学びます。

資格と密接に結びついている系統だけに、その分野のスペシャリストとして病院や保健所・介護施設などの各種施設で働くケースが多いです。
また、学科によっては教員免許の取得が可能なところもあり、養護教諭や中学校・高校の保健科教員になる道もあります。

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家政・生活科学系

家政・生活科学系では、衣・食・住など生活全般を科学的な視点でとらえ、快適で質の高い生活を創造する技術を身につけます。
大学によって家政学を中心とするところ、食物学・住居学・被服学・児童学などに重点をおくところがあります。
学部学科選択の際には、ファッションに興味があるならば被服学科、食べ物が好きならば食物学科、インテリアに興味があるならば住居学科というように、自分の興味で選ぶことがポイントになります。

調理師などの資格を取得した場合は、その資格を生かせる職業に就くケースが多いですが、そうでなければ、一般企業や公務員など就職先は多岐にわたります。
資格取得を望む場合は、大学案内などで取得可能な資格をチェックしておく必要があります。

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