職員対談
ついに、改訂された学習指導要領に基づく、2025年度新課程入試が始まりました。
注目の入試はどのように変化したのか、そして今後の動向はどうなっていくのか。
入試情報と教材作成のそれぞれの視点から現状とこれからについて紐解きます。
目次
1. 2025年度の新課程入試について
・概要と変更点
・今後の予測
2. 代ゼミについて
・代ゼミの強みとは
・代ゼミで働く魅力ややりがい
・親身の指導とは
3. 活躍する人材に求められるもの
4. 予備校として、代ゼミとして大切にしたいこと
5. 番外編(教育はAIに取って代わるのか・オンライン授業と対面授業の重要性)
紹介

土生 昌彦 Habu Masahiko
教材研究センター国語研究室 主幹研究員
入職以来、教材研究センターにてテキストや模擬試験の作成、大学入試問題の分析等に従事。専門は現代文と小論文。帰国生を対象とした授業も担当している。近年はAIを活用した新たな教育コンテンツの開発など、外部機関とのプロジェクトにも多く携わっている。
教材研究センターでは、入試のシーズンに解答速報を作成し、その作業をベースにテキストの作成や編集、模擬試験の問題作成などを行っている。国語研究室は現代文、古文、漢文と小論文の4つの科目に分かれ、テキストや模擬試験の作成・編集など代ゼミで使う教材全般を扱う。

木戸 葵 Kido Aoi
教育情報センター教育情報室 室長
教育情報センターにて入試情報・教育情報に関することを収集・分析・発信する役割を担う。
新卒入職後、札幌校進学相談室にてクラス担任業務をはじめとする校舎運営業務全般を担当。支局経験後は本部へ異動し現職。
教育情報センターでは、各大学が出す募集要項やニュースメディア、新聞などあらゆる情報を分析。
集めた情報や分析結果は、代ゼミ内部や全国の高校の先生方に講演等を通して積極的に発信を行っている。
1. 2025年度の新課程入試について
概要と変更点
木戸:2025年度入試は、実施される前からいろんな講演先で高校の先生や保護者の方から相談や質問を受けていました。
まず、共通テストの志願者は増えました。これは18歳人口増加に伴っての自然増だと思います。また、引き続き現役生メインの入試でしたので浪人生はますます減っている状況ですね。
共通テストの最大受験科目数は、5教科7科目から6教科8科目に増えはしましたが、新設された情報Ⅰの平均点は高く、国語も新しく大問が増えたにしては平均点が10点以上あがるという結果でした。国語で新設された第3問も情報Ⅰもしっかり読んで冷静に考えれば解ける問題が多い構成になっていたなという印象です。
土生:私は国語と小論文が専門で、必ずしも全科目の動向を押さえているわけではありませんが、共通テストはおおむね事前の予想通りだったと思います。
国語の第3問は実用文からの出題ということでしたが、2025年度入試では生徒作成のレポートに基づく問題でした。その表現をどのように修正すれば、より良い文章になるかということを中心に問われています。以前話題になった契約書や法律文からの出題ではなかったので、受験生も比較的取り組みやすかったのではないかと思います。
また新たに大問が1つ追加されたことで、受験生が時間内に解けるかということが気になっていましたが、従来の5択問題から4択問題が中心になりました。その分、負担が減り、時間内に解けた受験生が多かったようです。作問者の立場から言うと、共通テスト形式の問題を作るときにもっとも苦労するのは誤りの選択肢を作ることです。特に5つ目の選択肢ではどういう方向で誤答を作ろうかと苦心するので、4択問題中心になったことは、受験生ばかりでなく、作問者にとっても朗報でした。
全体的に難易度を含めて、初年度は慎重なスタートを切ったという印象であり、来年以降はやや難化するのではないかと予想しています。
木戸:国公立大学については2024年度から志願者が少し増えましたが、これは共通テストの平均点があがったので、強気に出願した人が多かったからだと思います。なかでも公立大学の志願者が増加しましたね。新課程で科目が増え、受験生も負担に感じていたと思いますので、2~3科目で受験できる大学がある公立に流れていくという動きがあったのではないかと考察しています。
私立大学も今回志願者が増え話題になりました。私立大学は併願ができるため延べ数にはなりますが、検定料の割引が拡大したり、無料になったりと受験生フレンドリーな変更が多くの大学であったのも増加した一因です。大学側も定員を満たさないといけないので、どうやって志願者を増やし、入学者を確保するか試行錯誤しています。