東京大学


3.最終合格者の合格最低点

【図表⑥】2025年度合格者数等
【図表⑥】2025年度合格者数等
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【図表⑦】文科の合格最低点
(総合550点中の得点率)の推移
【図表⑦】文科の合格最低点(総合550点中の得点率)の推移
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【図表⑧】理科の合格最低点
(総合550点中の得点率)の推移
【図表⑧】理科の合格最低点(総合550点中の得点率)の推移
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   共通テストと2次試験の総合点については、志願倍率や各年度の共通テスト(センター試験)と東京大学の2次試験の難易度に加えて、2次試験の「採点基準」も点数への影響が出ることをふまえながら、公表された点数をみてみましょう。
   文科では科類によって最低点の変動が異なる結果となりました。一類は61.1%で2024年度から0.9ポイント上昇、二類は変化なしの60.4%、三類は58.5%で1.7ポイント低下です。2021年度入試以降は三科類間の合格最低点の違いは小さく足並みがそろっていましたが、2025年度は一類と三類の間に2.6%の差がつきました。2020年度以前に似た、一類>二類>三類の序列が顕著に出た形です。三類の合格最低点低下は志願者減少などによる影響も考えられます。なお2次試験の科目について代々木ゼミナール教材研究センターの分析によると、2025年度は日本史のみが難化でその他の科目は2024年度程度の難易度でした。【図表】参照
   次に理科についてみていきましょう。2022年度入試から上昇を続けていた合格最低点ですが、2025年は三科類ともに低下に転じました。一類は58.4%で0.9ポイント低下、二類は56.9%で0.3ポイント低下、三類は67.0%で2.2ポイント低下です。共通テストの平均点上昇と予告倍率の縮小も相まって一類と二類では第1段階選抜の合格者最低点が8割を超えていました。しかし、総合点の結果をみると特に三類では低下しています。2次試験の科目について代々木ゼミナール教材研究センターの分析によると、数学と化学が難化しましたが、国語、英語、地学は同程度、物理、生物は易化です。受験必須の数学と大半の受験生が選択する化学の難化も合格最低点低下の要因として挙げられます。【図表】参照
   第1段階選抜の予告倍率を縮小した目的について東京大学は、①丁寧に適正かつ合理的な採点をおこなうため、②受験上の配慮が必要な受験生へ適切かつ迅速な対応をおこなうため、以上の2点を挙げています。2025年度の合格最低点をみると、ほぼすべての科類で2024年度までとは異なる動きを見せています。したがって「丁寧に適正かつ合理的な採点をおこなう」ために採点基準が変化した可能性が十分に考えられます。東京大学は高等学校での学習内容を深く理解しているかを問う良質な問題を出題する大学です。採点者に伝わる答案が書けているかどうかも含め、確かな理解に裏打ちされた記述力を高めておく必要がありそうです。

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